赤ちゃんはじめ、こどもは中耳炎にかかりやすいのですが、赤ちゃんの場合は「耳が痛い」と言葉で伝えることができないため、発見が遅れてしまいがちです。
悪化すると入院や手術が必要になってしまう場合もありますので、できれば軽度なうちに治療してしまいたいですね。
そのためには赤ちゃんから発せられる小さなサインに大人が気づいてあげることが大切です。
今回は赤ちゃんの中耳炎の症状、治療法や予防法、また早期発見のためのサインなどについてご紹介いたします。
教えて!子供の中耳炎ってどんな症状?子供からのサインを見逃さないで!
子供が中耳炎になりやすいのはなぜ?
中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳」と呼ばれる部分が炎症を起こす病気なのですが、赤ちゃんや子供の場合は、この中耳と鼻とをつなぐ耳管(じかん)という空気が出入りする管が大人と比べて未発達で短いため、最近が入りやすいからだと言われています。
また赤ちゃんに関しては、生後半年ごろからママからもらった免疫機能がなくなって急に病気にかかりやすくなることも関係しているのかもしれません。
中耳炎の原因と症状は?
中耳炎には大きく分けて「急性中耳炎」と「滲出性中耳炎」の2種類があります。
急性中耳炎
風邪をひいたあとに見られる中耳炎です。ウイルスが中耳に入り込んで炎症を起こすことが原因です。
症状としては、高熱が出るとともに、耳の痛みや耳垂れ、鼓膜の腫れなどの異常が起こります。
耳垂れは中耳の中にたまった膿が鼓膜を破って自然に出てくるもので、治りかけのときに多く見られます。
通常は10日程度で落ち着きますが、長引いたり繰り返して慢性化してしまう場合もあります。
滲出性中耳炎
粘膜から染み出した浸出液と呼ばれる液体が中耳にたまる病気です。
耳管の働きが悪くなったときや急性中耳炎で中耳にたまった膿が、完全に取り除けなかったときに起こります。
耳が詰まった感じがしたり、聞こえが悪くなったりはしますが、痛みや発熱などを伴わないため、症状を訴えない子供が多く、見逃してしまいやすいので注意が必要です。
子供からのサインを見逃さないように!
赤ちゃんの場合は熱が出ていたり耳が痛くても、言葉で知らせることができません。
また滲出性中耳炎の場合は本人も不快感を感じていないため、余計気づき辛いです。
しかし治療が遅れると慢性化したり、より治療に時間を要するようになってしまいますので、できるだけ早く気づいてあげるようにしましょう。以下に早期発見のポイントをご紹介します。
発熱・高熱
急性中耳炎の場合は発熱を伴うことがあります。
病院に行って風邪と診断され、薬を飲んでいるにも関わらず高熱が3日以上続く場合は、中耳炎による発熱が疑われます。
耳垂れ
急性中耳炎でも滲出性中耳炎でも耳垂れは出ることがあります。
耳の周りに黄色い液体がついていたり、乾いた黄色い物体がこびりついていたら、中耳炎の可能性が高いです。赤ちゃんのシーツにも付いていることがあるので注意してください。
耳を触る
耳垂れは出ている場合は、皮膚がかぶれたりして耳の中が痒くなることがあります。
赤ちゃんがしきりに耳を触ったり、引っ張ったりするときは要注意です。
いつもより激しい夜泣き
中耳炎は昼よりも夜に痛みが強くなるといわれています。
機嫌が悪くなかなか寝付かなかったり、いつもと夜泣きの様子が違うようであれば、中耳炎を疑ってみましょう。
聞こえづらそう、呼びかけても反応がない
滲出性中耳炎の場合は周囲の音が聞こえ辛くなるため、何度呼びかけても反応がにぶかったり、周りの大きな音にも反応を示さないことがあります。
そのようなときには中耳炎の可能性があります。
子供が中耳炎になってしまったら~治し方・予防法は?
赤ちゃんが中耳炎かもと思った場合の受診は小児科?耳鼻科?
赤ちゃんが中耳炎にかかったと疑われる場合、小児科を受診すべきか、耳鼻科を受診すべきか迷うかもしれませんが、治療器具などの充実度を考えるとおすすめは耳鼻科です。
鼻水の吸引機や鼻から薬を入れる機械など、専門的な器具は小児科には無いところが多いです。
ただし、診療時間などの問題ですぐに耳鼻科を受診できない場合は、小児科でもOK。
痛みや熱を和らげるための解熱鎮痛剤を処方してくれたり、おすすめの耳鼻科を紹介してくれたりもします。
中耳炎の治療方法
急性中耳炎の場合
症状が軽い場合は、抗生物質の服薬での治療が中心になります。
風邪が原因の場合は鼻や喉の治療も一緒に行い、細菌が増えないようにします。
抗生物質を飲んでも熱が下がらないという場合は、鼓膜に小さい穴を開けて膿を出す治療を行うこともあります。
鼓膜にあけた穴は2~3日で復活し、聴力に影響はありません。
完治するまでに約2~3週間かかり、その間通院が必要になります。
滲出性中耳炎の場合
軽症の場合は抗生物質の服薬や、鼻から耳に空気を送り込む耳管通気という方法で治療しますが、重症の場合はこちらも切開手術が必要になります。
膿を出しても、何度も中耳炎が再発する場合には、鼓膜にチューブを入れて膿を溜まりにくくする処置を行います。
チューブを入れておく期間は症状に応じて異なりますが、長いと2年ほどそのままにしておく必要があります。
なってしまったら…?応急処置と予防法
赤ちゃんが中耳炎になってしまった場合、もちろん病院を受診することが一番ですが、日にちや時間によっては、すぐに病院に行けないこともあるでしょう。
そんなときの応急処置法をご紹介します。
また日ごろから中耳炎にならないために注意しておくことも大事です。中耳炎予防のためのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
赤ちゃんが中耳炎になってしまったときの応急処置法
寝かせず座らせる
赤ちゃんを縦の姿勢にすることで、鼻通りがよくなり、痛みが和らぐ場合があります。
耳の後ろを冷やす
冷やすことで、痛みや痒みを抑えられます。冷えすぎないよう、保冷剤にタオルを巻くなどして調節してください。
痛み止めを服用する
小児用の解熱鎮痛剤を使います。服用時は用法や用量をきちんと守ってください。
耳垂れはふき取る
耳垂れを放置しておくと、皮膚がかぶれて痒みが出たりすることがあります。強くこすらずにガーゼや綿棒を使って優しくふき取り、清潔に保つようにしてください。
中耳炎予防のためにできる5つのこと
鼻や喉の病気に注意する
中耳炎の感染経路は実は耳ではなく、鼻や喉です。気温が下がる冬やアレルギー症状の出やすい春は特に気をつけましょう。
耳鼻科で定期健診を受ける
特にアレルギー性鼻炎を持つ場合や過去に中耳炎になったことがある場合は、定期的に耳鼻科に通って耳の状態を確認してもらうようにしましょう。もし中耳炎にかかっていても軽度なら治療の期間が短くて済みます。
鼻の中をきれいにする
鼻水には中耳炎の原因になる細菌が含まれていますので、すすらせずに鼻水吸引器などを使って、鼻の中をきれいに保つようにしましょう。
ミルクを飲ませる体勢に気をつける
赤ちゃんに哺乳瓶でミルクをあげる場合、水平の体勢でミルクをあげると、ミルクが鼻に逆流して耳管を通って中耳にたまり、「ミルク性中耳炎」になってしまうことがあります。哺乳瓶でミルクをあげるときにも出来れば母乳のときと同じ体勢を取らせるようにしてください。
完治するまで治療は中断しない
お医者さんから完治したといわれるまでは、自己判断で治療を中断しないでください。耳の中に膿が残った状態で治療を中断すると中耳炎が再発しやすく、慢性化してしまう恐れもあります。
お風呂や保育園はいつから?
お風呂は熱が下がってから
中耳炎が治っていなくても、熱が引いて耳の痛みが治っていれば、入浴しても問題ありません。ただし湯冷めして風邪をぶり返さないように注意してください。
また念のため、耳に水が入らないように注意してください。お風呂に入ると体力を消耗しますので、38度以上の熱がある場合は控えた方が良さそうです。
保育園は熱が下がって元気なら登園可能
中耳炎は他人に感染するような病気ではないため、インフルエンザのように何日間休まなければいけない、というような決まりはありません。
基本的には熱が下がって体調が回復していれば登園しても問題ありませんが、無理をすると体調が悪化する可能性があるのでやめましょう。
また病院から抗生物質を処方された場合は1日3回飲む必要がありますので、保育園に相談して昼間も飲ませてもらうようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
赤ちゃんは言葉が話せないため、中耳炎にかかっていても気がつきにくいのですが、普段より夜泣きが激しい、耳を頻繁に触る、周囲の音に対する反応が鈍いなど、異常が見られたら病院を受診するようにしましょう。
予防するのが一番ですが、もしかかってしまった場合は、悪化させると治療が長引いたり慢性化してしまったりするので、なるべく早く病院に連れて行って治療にとりかかるようにしてください。