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生後5~6ヵ月で始めた離乳食が終わるころ、今度は幼児食の時期がやってきます。
幼児食は子どもの成長に合わせて、食事だけで栄養を取れるよう調理された食事のことです。
でも幼児食って離乳食や、おとなの食事と何が違うの?
どのくらい食べられるようになると良いの?
そんな疑問を抱える方のために、ここでは幼児食を始める時期や始めてからのポイント、1歳・2歳頃の食事の量についてお話します。
そして忙しいママやパパのために、栄養満点のおすすめの幼児食の献立も紹介します。
幼児食とは?その役割とは?
これまで進めてきた「離乳食」。離乳食には初期・中期・後期・完了期があります。
完了期(生後12ヵ月~18ヵ月頃)が終わると「幼児食」の時期が始まります。
幼児食とは、離乳食が「食事+母乳・ミルク」という食事だったのに対し、「食事のみ」で栄養を取れるような食事のことを指します。
幼児食の役割には以下のようなものがあります。
- 心身の成長を促す
- 食への興味・関心を育てる
- 将来の健康の土台を作る
幼児食を始めるとマナーなども気になりますが、まずは「食事は楽しい」と思えることが大切です。
お子さんの成長に合わせて進めていけると良いですね。
幼児食を始めるタイミングは?
それではいつから幼児食を始められるのでしょうか。
幼児食を始めるための3つのタイミングをお教えします。
3回食のリズムが定着している
一日3回の離乳食のリズムが定着して、完食できるようになってきたら幼児食への移行を考えても良い時期です。
ただまだ母乳やミルクを欲しがることが多かったり、あまり食事に興味を示さないようであればもう少し離乳食を続けてもいいでしょう。
食べ物を左右の歯ですりつぶしながら食べられる
1歳くらいになると上下の前歯が生えそろい、だんだんと奥歯が生えてきます。
まだ固いものは噛み砕けませんが、柔らかいものなら奥歯を使って噛み砕けるようになってきます。
そのために離乳食後期の頃から、歯茎を使って食べ物をすりつぶす練習をしておけると良いですね。
水分がコップから飲める
それまでの「吸う」動きでは、自然と喉に水分が流れ込んでいました。
幼児期に進む頃には、コップのふちに唇を合わせられること、口の中で水分をためて調節しながらゴクゴクと飲み込めるまで成長が出来ているのが目安です。
この3つのタイミングを全部満たしていなくても、子どもの様子を見ながら少しずつ幼児食へ移行していっても大丈夫です。
幼児食の終わりの時期は明確には定められていませんが、大体5歳くらいを目安にしている方が多いようです。
ただ大人と同じものを食べさせるというわけではなく、刺激の強いものや固すぎるものは避けたメニューを心掛けましょう。
参考資料:厚労省「授乳・離乳の支援ガイド」
幼児食はどのくらい食べるの?~1歳半から2歳の食事量
幼児食になると離乳食のときよりも多くカロリーを必要とします。
1~2歳児の摂取エネルギーは900(女子)kcal、1000(男子)kcalです。
一日の食事量(1歳半~2歳)
主食
270g…ごはん子ども茶碗軽く2杯、食パン8枚切り1枚
イモ類
40g…じゃがいも1/2個、さつまいも1/6本
乳製品
250g…牛乳コップ1杯+ヨーグルト1/2
卵
30g…1/2個
肉類
20g…ひき肉大さじ1
魚類
30g …切り身2/3切れ
豆製品
30g…納豆1パック
野菜類
180g…キャベツ2枚/アスパラガス6本
海藻・きのこ類
10g(消化が良くないので様子を見ながら)
果物類
100g…バナナ1本
油脂類
10g…サラダ油小さじ1
おやつは食事の一部
食事ではどうしてもとり切れない栄養が出てくるものです。
その分を1日1~2回のおやつ(補食)で補いましょう。
市販のおやつも手軽で良いですが、果物やおにぎりなどを上手に取り入れていきましょう。
参考文献:学研プラス 最新決定版はじめての離乳食
幼児食を始めてからのポイント!食事が大好きになるために
幼児食は自分でやりたい「自我」が育つ時期、スプーンやフォークなどの「操作」が育つ時期、そして「みんなと一緒」を楽しむ時期でもあります。
いわば将来の健康的な生活への大事なステップだとも言えます。
幼児食を通じて食事の楽しさを知るために、大切なポイントを紹介します。
自分で食べる
手づかみ食べや、スプーンやフォークなどを使いたがり、服を汚したり、ポロポロこぼすことが多くなります。
大人が食べさせてあげるもの以外に自分で食べる用の食事をとりわけたり、床に新聞紙やシートを敷いたり、エプロンを着るなど、存分に練習できる環境を作ってあげましょう。
楽しい食卓を作る
幼児食が始まると、大人と一緒に食事をすることが増えます。これは食事が大好きになる絶好の機会です。
一緒に食べながら「おいしいね」とニコニコ笑顔で声をかけると、子どもは「食べるのは楽しい」と感じます。
郷土料理や季節のメニューで文化を伝えていくことも、子どもには楽しい経験です。
忙しい時も安心!栄養たっぷりの幼児食の献立
栄養を食事からすべて摂るようになると、栄養バランスが重要です。
でも手間をかけている時間はないし、どんな献立にすればいいのか困っちゃう…。
そんな時に参考にしてほしいポイントと、献立例を紹介します。
幼児食作り方のポイント!
味付けの濃さ
味付けは「薄味」が基本です。大人の食事の半分ぐらいの味付けになるように調理しましょう。
「コショウ」「生姜」「にんにく」などの刺激の強いスパイス類は避けて調理する必要があります。
また、この時期から味の濃い食べ物に慣れさせてしまうと、将来「生活習慣病」のリスクが高まる危険性もありますので、注意してあげましょう。
食材の大きさ
幼児食が始まった頃の食べ物の大きさは下記を目安にしてください。
根菜類
直径1㎝角で歯茎に乗せてもぐもぐ出来るくらい。また長さ4㎝くらいのスティック状で手づかみ食べをしてもOK
葉野菜
長さ1~2㎝で、繊維が残りやすいので切り込みを入れるなど気を付ける。
肉類
ひき肉が中心。薄切り肉の場合はかなり小さく切る
食材の固さ
幼児の噛む力は6歳でようやく大人の3~4割と言われています。
そのためお母さんの指で押してつぶれるくらいの固さ、肉団子くらいの固さに調理しましょう。
また消化器官も未熟なので、極端に繊維の多いものや生もの、ナッツ類は避けましょう。
幼児食で不足しがちな栄養
幼児期に不足しがちな栄養素は「鉄」、「食物繊維」そして「カルシウム」です。
「鉄」「カルシウム」に関しては、幼児期での必要量は成人期の2~3倍となっています。
「鉄」が不足すると疲れやすくなったり、貧血の原因になります。
また幼児期の骨の成長のためには「カルシウム」が必要となります。
それまで母乳やミルク、とろみ付けなどで補われていた水分量も減り便秘になりやすいため、腸内環境を整える「食物繊維」も重要になってきます。
これらはぜひ意識的に食事に取り入れていってほしい栄養素です。
幼児食!献立の組み立て方
栄養のバランスを整えるためには「主食+主菜+副菜+汁物」が基本です。
でもこんなに品数を作るのは苦手…という方は、主食や汁物を具だくさんにして、副菜を省略なんて方法もありですよ。
献立例
主食
人参と鶏肉の炊き込みご飯、ピラフ、ほうれん草と肉団子のグラタン、青菜としらすのチャーハン
主菜
麻婆豆腐、青魚の竜田揚げ、野菜ハンバーグ
副菜
フルーツのヨーグルト和え、豆腐の玉ねぎあんかけ、サツマイモのミルク煮
汁物
具だくさんのお味噌汁、すまし汁、ツナのホワイトシチュー
まとめ
幼児食は食事を楽しみ、健康な身体を作っていくために必要な過程です。
食べ物の材料などに興味が出てくる一方で、「食べない!」という自我が出てくるのもこの時期の特徴です。
でもこれは成長の証なので焦らず、ゆっくり進めていきましょう。
何よりも「食事は楽しい」ということを学んで行くために、暖かい雰囲気の中で、にこにこ食べる時間が持てるといいですね。