やむを得ず引っ越しをすることになったり、無認可の保育園から空きがでた認可保育園へ移ったり…環境の大きな変化に、子供はとまどってしまうもの。
転園になるのはほとんどが親の都合なので、「自分のせいで子供を泣かせてしまい可哀そうなことをした」と自分自身を責めてしまうパパやママもいるのではないでしょうか?
でも、これから大きくなっていくにつれて、環境の変化はたくさんあります。
今しっかりとフォローして乗り越えることができれば、今度また環境の変化があったときには親も子供もグッと楽に過ごせるはず。
前向きに捉えて、しっかりと寄り添ってあげましょう。
保育園転園時の子供の心理
慣れない環境に不安がって泣いてしまう子は多いはず。しかし、泣かない子も同じように不安を抱えています。
転園によって子供が抱える不安を解消してあげることが一番。転園によって、子供はどんな不安を抱えているのでしょうか?
新しい場所への警戒心
「場所」自体に警戒して、不安が募るパターンです。
大人でも、自分が全く知らない場所に一人で放りだされたら、とっても不安になりますよね?
まだまだ経験が少ない子供にとって、知らない世界に一人で放り出されることは不安というよりむしろ恐怖です。
転園していきなり通い出すのではなく、できれば転園前からその保育園の前まで行ってみたり、一緒に中を覗いてみると慣れるのも早いです。
新しい人間関係への警戒心
子供は大人よりもずっと敏感に、相手の心を感じ取ろうとしています。
そのため、慣れない人といるときは感覚を研ぎ澄まし、神経をはっているのでとても疲れてしまうのです。
保育園が変わると、全く知らないたくさんの人に囲まれ、神経がとても敏感になります。
安心して関われる人が見つかるまでは、全ての人が自分に害を及ぼす相手なのではないかと警戒し、不安で不安で仕方なくなります。
「安心できる場所を奪われた」という想い
4歳や5歳ごろになってくると、周りの状況が見えるようになってくるので、「親の都合で」ということを何となく感じ取るようになります。
ここで重要なのは「状況を見る」ことはできても「状況を理解する」ことはまだできないということです。
この頃の子供には「転園は仕方なかった」というように納得することができません。
なぜ大好きだった先生やお友達に会えなくなったのかまでは、理解ができないのです。
しかし、「親の都合で」そうなっていることは薄々感じ取っていますので、何となく親が自分を追い詰めている気がしてとても不安になってしまいます。
急に甘えだしたり、わざとわがままを言ったり、赤ちゃん返りをしてしまう子はこのタイプです。
この甘えやわがままは、決して親を責めるものではなく、大切なものを失ってしまったショックを必死で乗り越えようとしている証拠ですので、叱ったり呆れたりせず、しっかりとその心に寄り添ってあげましょう。
元の場所への執着心
人間に限らず、全ての生き物は「安心できる場所」にとどまろうとする本能や習性があります。
動物で言うなら「縄張り」や「群れ」はその最たるものです。
動物の世界では縄張りや群れからはぐれることは死を意味します。
人間の子供にもまだまだ生き物としての本能がたくさん残っていますので、安全だった場所への執着心は、大人よりもずっと強いのです。
前の保育園にはすぐ慣れたのに、次の保育園にはなかなか慣れないということがあるのですが、それは、この心理が関係していると言われています。
伝わらない不安
子供はまだまだ自分の気持ちや欲求を言葉として伝えることがうまくできません。
ある程度の時間を一緒に過ごしていると、「あぁ、これを訴えているな」というのがわかるようになるので、欲求を満たしてあげることができるのですが、それをわかるようになるにはやはり時間がかかります。
それは、保育士などのプロでも同じこと。
一人一人違う欲求の表現の仕方に慣れるには、やはり時間がかかります。
子供はそんなこと理解できませんので、今まで伝わっていた表現方法が伝わらないと、パニックになってしまいます。
事前に、パパやママがわかる範囲で「この子はこういうことをしたとき、こういう欲求を持っています」ということを伝えておけるといいですね。
絶対にやってはいけない!子供をさらに不安にする行動
泣いたり不安がることを叱る
もし自分が何かに不安を抱えているときに、誰かにその不安を否定されたら、誰も味方がいないような気がして余計に追い込まれてしまいませんか?
子供も同じように、不安を受け止めてもらえないと、さらに不安になってしまいます。
まだ経験が少ない子供ですので、新しい環境に不安を感じるのは当たり前。
その不安をしっかりと受け止めてあげましょう。
黙っていなくなる
お見送りのとき、泣いてしまうからと言って、子供が気づかないうちに黙って保育園からいなくなったりしていませんか?
ただでさえ不安なときに、急に一人にされるとその不安は恐怖へと変わります。
「ちゃんと迎えにくるからね」と安心感を与える言葉をかけて、子供が納得してからその場を離れましょう。
不安がっているのに放置する
環境の変化に伴う不安は当たり前のことです。
しかし、当たり前だからと言って子供の不安を放置したままになっていませんか?
子供は大人のように、自分が不安を抱えていることに気づいたり、自分で気持ちの整理をつけることができません。
親がしっかりと不安に寄り添って、解消してあげましょう。
他のお友達と比べる
子供が泣いてしまったとき「みんなは泣かずにいい子にしてるよ」と言ってしまったことはありませんか?
これは、子供にとっては「あなたはダメな子」と言っているのと同じことです。
子供の心を深く傷つけてしまいますので、絶対に他の子と比べる言い方はやめましょう。
「いい子にしてなさい」と言い聞かす
これも先ほどと同じことなのですが、「いい子にしてなさい」というのは、「あなたは悪い子」と言っているのと同じことです。
子供は「自分は悪い子だから愛される価値がないんだ」と感じてしまい、これは後の人生に大きく関わってしまうので、絶対に言わないようにしましょう。
大切なのは不安がる子供を否定するのではなく、その不安に共感してあげることです。
家族ができるフォロー
思いっきり甘えられるようにしてあげる
慣れない環境に適応するため、子供は外で必死に頑張っています。
お家は子供が安心して過ごせる唯一の場所。保育園でいっぱい不安になったぶん、お家では甘えを受け入れて、いっぱい安心させてあげてください。
不安や寂しさに共感を示す
子供は不安や寂しさを抱えていても、それを理解することができず、なぜ自分はこんなにもモヤモヤしているのかということがよくわかっていません。
大人が「不安だったね」「寂しかったね」など、子供の気持ちに共感してあげることで、「これが不安ということなんだ」と学びます。
そうして徐々に自分の感情を理解する力を身につけるのです。
慣れるまでじっくりと向き合う
なかなか新しい環境に慣れてくれないのは、新しい環境に不満があるからではありません。
子供自身も適応しようと一生懸命頑張っていますので、慣れるまであたたかく見守ってあげてください。
子供の話をじっくりと聞く
新しい環境になってから、妙に多弁になる子がいます。
これは、自分の不安などを整理したり、慣れない環境で溜まったフラストレーションを発散するための行動です。
また、親とコミュニケーションをとることで、自分を安心させようとする心理でもあります。
忙しいときや寝る時間など、好ましくない状況でも話続けたりすることがありますが、じっくりと話を聞き、安心させてあげましょう。
ママやパパが不安を見せない
子供は親の気持ちを敏感に感じ取っています。
転園は親にとっても新しいスタートですので、親も不安になってしまうことがたくさんあるかもしれません。
しかし、親が不安になると子供はもっと不安になってしまいます。
まずはパパやママが新しい環境を楽しんで、この環境は安心していい場所だということを子供に教えてあげましょう。
まとめ
転園で泣いてしまう子供には「不安」はありますが「不満」はありません。
親の都合で転園になったことを責めているわけではないので、親が過剰に責任を感じたり、自分を責める必要もないのです。
抱えた不安をどう解消するかということは、子供ののちの人生にも大きく関わりますので、子供がちゃんと安心して、自信をもって生活できるよう、じっくりと向き合っていきましょう。
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