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子供が体調を崩しやすく風邪が流行る季節といえば、冬のイメージがありますが暑い夏も当てはまります。
夏には幼稚園や保育園の授業でプールが始まり、子供たちにとって水遊びが楽しくなる時期です。また夏休みになるとプールはもちろん海水浴場へ出かける機会も増えて『水』に接する機会が増えます。大人でも耳に水が入った経験をした方も多いと思います。子供も風邪がきっかけで中耳炎になることがありますが、耳に水が入る機会が増えることで中耳炎になることもあります。子供に多い中耳炎とはどういうものなのか、日頃から気を付けるにはどうしたらよいかなど紹介していきます。
そもそも中耳炎とは?
耳・鼻・喉の病気で一番子供が罹り易いと言われているのが中耳炎です。鼻や喉から細菌が中耳腔に入り込み、炎症を起こして鼓膜が赤く膨れ上がっている状態をいいます。子供は耳管が大人に比べて太くて短い上に、耳管の傾きがほぼ水平のため細菌やウイルスが耳管を通って中耳腔に入りやすく中耳炎にかかりやすいのです。
中耳炎には主にどんな種類があるの?
急性中耳炎
風邪の症状の後にかかることが多いです。風邪を引くことで細菌やウイルスが中耳に入り込み、急性の炎症を起こしている状態です。38度以上の高熱が出て、耳を痛がることがあります。ひどく機嫌が悪かったり、耳を触って頭を左右に振ったり、激しい夜泣きをすることで気が付きます。実際に私の子供も、耳をよく触るようになり高熱が出たので耳鼻科に受診すると急性中耳炎と診断されました。中耳に溜まった膿が鼓膜を破って流れ出る(耳だれ)などの症状もあります。鼓膜が破れても数日で再生されるので心配ありません。10日前後で症状は治まるのが一般的ですが、中には何度も繰り返すことで「反復性中耳炎」になり炎症がひどい場合は鼓膜を切開することもあります。軽症の場合は鼻水を取る処置や、鼻水を抑える薬、抗菌薬の服用で様子をみます。
滲出性中耳炎
慢性的に中耳腔に滲出液という液体が溜まってしまい、聞こえが悪くなる状態の中耳炎を言います。急性中耳炎のような痛みや発熱などの症状は見られません。副鼻腔炎やアデノイド肥大で耳管の通りが悪いときにも起こりやすくなります。聴力に影響が出るケースもあり、炎症、痛みが治まっても医師の指示通りに薬の服用を続ける必要があります。また滲出液が溜まるのを防ぐために鼓膜にチューブを挿入し、溜まらなくなった状態が続けばチューブを抜く処置をする場合もあります。
慢性中耳炎
上記2種類の中耳炎(急性中耳炎・滲出性中耳炎)の症状がなかなか治まらず、炎症が慢性化してしまったものを慢性中耳炎といいます。痛みはほとんどありません。耳だれや難聴の症状が主で、鼓膜に開いた穴が塞がらない場合は手術をする場合があります。
中耳炎かなと疑うべき子供の症状
中耳炎は放っておくと慢性化することもあり、家族が早く子供の訴えに気づいてあげることが早期発見・早期治療につながります。中耳炎の種類のところでも述べましたが、改めてポイントをまとめてみました。
急性中耳炎の場合
38度~39度近い高熱、耳をよく触るようになる、不機嫌になりやすい、夜に突然痛みを訴えながら夜泣きすることがあります。
滲出性中耳炎の場合
急性中耳炎の時みたいな発熱や耳の痛みがないことが多いので、不機嫌が続き怒りやすくなる、その反対で泣きやすくなる、言葉の発達が遅かったり呼びかけても反応が薄い又は遅いときは滲出性中耳炎を疑いましょう。
病院を受診する前に自宅で出来る対処法
子供が調子を崩し、発熱や耳の痛みを訴えたとき病院の診療時間内であればすぐ病院へ行けますが、夜間や休日など病院へすぐ受診できない場合に自宅で出来る対処法を紹介します。
痛がる時は座らせる又は立たせる
発熱があるときは安静にしなくてはならないので寝かせますが、できるだけ痛みを和らげるためには寝かせずに座らせるか立たせるほうが鼻の通りがよくなり少し楽になります。鼻咽頭粘膜の血管の拡張がやや収まり、耳管機能の改善がみられることがあります。
痛いほうの耳を冷やす
耳を冷やすことで炎症による痛みが和らぐことがあります。夏であれば、エアコンを使い部屋を涼しくしたり、窓を開けて風を入れたりします。冷やしすぎるのは良くないですが、保冷剤をタオルで巻いて痛いほうの耳に当てたり、ビニール袋に氷水を入れたものをタオルに巻いて当ててもいいです。痛みが強いときはお風呂へ入るのは止めておきましょう。温めることで痛みが増すこともあります。
市販の痛み止めを使って様子を見る
市販で売られている小児用の解熱鎮痛剤を使うことで痛みが和らぐことがあります。また、小児科を風邪などで受診した際にもらった解熱剤を自宅の冷蔵庫で保管している場合はそれを使ってもいいです。市販の場合は用法・用量をきちんと守り使用するようにしましょう。
耳だれは細目に拭きましょう
中耳炎の中には耳だれしない場合もありますが、耳だれがあるときはこすったりせずカーゼなどで拭き取ります。痛みも同時にあることがあるのでやさしく拭いてあげてください。発熱などがあり横になる場合には枕の上にバスタオルなどを敷いて寝かせましょう。
日頃から気を付けることで中耳炎を予防しよう!
中耳炎にならないためにも、日頃から気を付けることが大切です。では、具体的にどういったことに気を付けたらよいのか紹介します。
夏や冬に引きやすい風邪に気を付ける
風邪を引かないように手洗い・うがいを心がけ、鼻水が出る場合は長引かないように早めに病院へ受診しましょう。また、花粉症などアレルギーが出やすい時期も注意しましょう。
鼻水を細目に取りましょう
風邪を引いたり、アレルギー性鼻炎などで鼻水が出る場合、細目に鼻水を取るようにしましょう。その際、左右同時に思いっきりかむと耳によくありません。片方ずつ優しくそっとかむようにしましょう。
中耳炎に以前なったことのある場合は特に注意が必要!
中耳炎になったことのある子供は、再発するリスクが高いです。そのためプールやお風呂では耳に水が入らないように気を付けましょう。
もし耳に水が入った場合の対処法
水が入った時はなるべく早く出しておきたいですよね。耳に水が入ると誰しもが反対側の頭を叩いて出そうとしましたよね。実はこの方法では水は抜けません!小さい子供ほど頭を叩くと脳が揺さぶられて危険ですので止めましょう。
- まず水の入った耳の後ろを斜め後方に引っ張り、ゆっくり引っ張った側の頭を傾けます。
- 水の入った耳を下にして口を大きく開けて「ア」「ウ」と言ってあごを動かす。
- 仰向けに1~2分ほど寝て、ゆっくりと頭を動かし水の入った耳を下にする。
- 綿棒などでやさしく水を吸い取る。
上記の順番で対処してもらい、耳に水が溜まったままにしないように気を付けましょう。
まとめ
中耳炎は一回なったからもうならないというものではなく、小さい子供だけの病気でもありません。小さいときから小学生になっても中耳炎を繰り返す子供もいます。一回の治療で治るものではなく、耳鼻咽喉科の医師より中耳炎が完治しましたと言われるまで、きちんと治療することが大切です。順調にいっていても、治療の途中で風邪を引き鼻水の量が増えるとまた症状がひどくなることもあります。根気よく治療に通い、しっかり中耳炎が完治するまで子どもを励ましながら頑張りましょう。定期的に耳鼻科で耳のチェックをしておくことも中耳炎予防には大切なので、かかりつけの耳鼻科を持つと良いでしょう。