マタニティマークをご存知でしょうか?
自治体などが配布している、妊婦であることを周囲に知らせるためのマークです。
普段持つカバンなどにつけている人が多いようですが、車の周囲から見やすい位置につけておくと、駐車場を利用する際にも役立ちます。
今回はマタニティマークやその他妊娠中・子育て中であることを示すマークや、妊娠中の優先駐車場利用について取り上げます。
少子化の改善のためにも、多くの人に理解して欲しい話題です。
妊婦の車を車いすマークのみの駐車場に停めていい?
車いすマークは国際シンボルマークといいます
スーパーや公共施設の駐車場で、車いすマークが描かれたスペースを目にする事があるかと思います。
一般的に身障者用の駐車スペースとして考えられ、「車いす駐車場」や「優先駐車場」と呼ばれていることが多いようです。
しかし、このマークの本来の名称は「国際シンボルマーク」といい、意味も身障者専用というわけではなく、車いす利用者のほかにも、杖を使っていたり、視覚・聴覚障害や目に見えない内部疾患を持っているなど、あらゆるハンディキャップを持つ人が使える駐車スペースを表しています。
障害をもつ人々が住みやすいまちづくりを推進することを目的として、1969年に国際リハビリテーション協会(RI)により採択されたものなのですが、特に精神障害者であったり、耳が不自由だったり、内部疾患を持つなど、見た目は健常者に見える人たちがこちらの駐車スペースを利用していると、周囲から白い目で見られたり、ひどいときには知らない人から突然罵倒されるようなことも起こっています。
全ての人に住みよい街づくりを目指すためには、まだまだ正しい理解の普及が必要だといえます。
妊婦が車いすマークの駐車場を利用してもよいのか
妊婦は障がい者ではないため、大手をふっての利用は避けたほうが良いでしょう。
駐車場からお店の入口まで歩くことは、妊娠中の軽い運動としても良いですし、他に車いすや足腰の不自由な方など、このスペースを必要としている人がいるかもしれません。
しかし切迫気味や貧血など妊娠に伴う体調不良の場合や、緊急時などには、施設の許可を得て利用させてもらいましょう。
ただし妊婦の場合も、見た目が分かりにくいことが多いので、車の見やすい場所にマタニティマークをつけるなど、周囲に妊娠中であることを知らせるための工夫をしましょう。
車いすマークとマタニティーマーク併用の駐車スペース利用時の注意点
車いすマークだけだと、見た目が健常者の人がそのスペースを利用した際にトラブルになるケースがあることから、最近は車いすマークとマタニティーマーク・高齢者優先マークなどが併用されていることも多いです。
しかしそうまでしていても残念なことに、妊婦の場合は特に「妊娠は病気ではない」「好きで子供作っているのに甘えるな」など、不等に厳しい言葉を投げてくる心ない人もいるようです。
実際に起こった例をいくつかご紹介します。
「社会のルールを守れ!」とエレベーターまで乗り込んできた男性
新聞の投稿欄に載っていた記事です。
ある妊婦さんが車いすマークの駐車場に車を停めて買い物に行こうとしたところ、見ず知らずの男性が「そこは身体者用だ、社会のルールを守れ!」と怒鳴って詰め寄ってきたそう。
妊婦さんは妊娠8ヶ月で見た目からも妊娠中だと分かり、口頭でも妊娠している旨を伝えたにも関わらず、男性は聞く耳を持たずにエレベーターの中までついてきたそうです。
結局110番してなんとか事態は収拾したらしいのですが、妊婦や優先駐車場についての理解が浸透していないことがよく分かるような事件です。
見ず知らずの人に「人間のくず」呼ばわり
別の事件もあります。
「障害者でも、お年寄りでもないのに、障害者マークを車に付け、障害者専用駐車場に車を止める。
これは、人間のくずがやること。
今、大切に抱いている赤ちゃんがそれを知ったらどんなに悲しむか…自分の母親が低レベルな人間だととても悲しむでしょう。
こんなことをして恥ずかしくないですか?となりの「連れ」にも同じことを言ってやれ。
みんな見てるよ。どこでも見られてるよ。」(出典:Twitter)
この妊婦さんはパーキングパーミット制度(後述します)で交付してもらった、身障者用駐車場利用証を車につけていたそう。それをつけていたにも関わらず、このような手紙が一方的に車に残されていたようです。
低レベルで恥ずかしいのはどちらなのかと思うような内容ですが、残念ながら世の中にはこのような罵言を浴びせてくるような人も少なからずいます。
トラブル防止・緩和のための対策
何をしても文句を言ってくる人はいますが、少しでもトラブルを緩和したり回避するために、出来る限りの対策をしておきましょう。
マタニティマークを携帯し、車にもマタニティステッカーを貼っておく
妊婦の場合、見た目では分からずに、健常者が優先駐車場を利用していると思われることがあります。
これらのマークやステッカーなどを利用して、周りの方に自分が妊婦であるということをアピールしましょう。
利用するときはなるべく体調の悪い状態の時だけにする
妊婦と分かっていても、まれに周囲から冷たい視線を浴びたり、暴言を吐かれたりすることもあるかもしれません。
年配の主婦や、高齢者の男性が絡んでくることが多いようです。
実際、国際シンボルマークの駐車場を妊婦が利用することの是非については、具体的な決まりがあるわけではなく曖昧になっていることもありますので、可能であれば健常者用のスペースを利用した方がトラブルの回避につながります。
体調が悪いけれどもどうしても外出しなければならないような時は、遠慮せずに利用させてもらいましょう。
できるだけ同伴者と一緒に利用する
誰かに暴言を吐かれたり詰め寄られたりしても、冷静に反論してくれる同伴者がいれば安心です。
特に高齢者の男性などは、若い女性なら言い返せないだろうと思って詰め寄ってくることもあるので、同伴者が男性だと尚良いでしょう。
「妊婦も使ってもいいですと許可をとっていますので」と冷静に返せれば良いのですが、話し合いができるような雰囲気でないときは、相手にしないのが一番です。
パーキングパーミット制度を利用して許可書を交付してもらう
後で詳しい説明をしますが、パーキングパーミット制度というものを利用すれば、自治体から優先駐車場の利用許可証を交付してもらえます。
これがあれば、優先駐車場に停めても良い、という証明になりますので、詰め寄られたりしたときにも堂々と反論できる材料になります。
パーキングパーミット制度
現在30府県2市で導入されている制度で、自治体によって名称は異なります。
対象者が自治体に申請をすれば、身体障害者用駐車場を利用する際の利用許可証を交付してもらえます。
ただし自治体によってどのような人が対象になるかや、申請方法が異なるよう。
この制度を最初に導入した佐賀県では、妊娠7ヶ月から産後3ヶ月の妊産婦が対象になります。
郵送で申請できるところもあるようですので、お住まいの自治体の制度を一度調べてみてください。
車いすマーク以外にもある!妊娠・子育て中ママを助けてくれるマーク
マタニティマーク
先ほどから何度か出てきていますが、周囲に妊娠中であることを知らせるためのマークです。
特に妊娠初期の見た目では妊婦と分からない時期に役に立ちます。キーホルダーになっているので、カバンなど身近なものにつけておくと良いでしょう。
マタニティーステッカー
車に貼ることができるタイプのマタニティマークです。
妊娠中はハンドルが握りにくかったり、シートベルトが締めにくかったりと、動作に手間取ることもあります。そんなときにこのマークを貼っておけば、周囲も不要にイラついたりせずに配慮してくれるはずです。
またゆっくり慎重に安全運転をしたいとき、このステッカーを貼っておけば「お先にどうぞ」「追い越してください」の合図にもなりますので、気持ちの上で安心できます。
ベビーカーマーク
公共交通機関などで見られる、「ここはベビーカー優先スペースで、使用しても構わない」という意味のマークなのですが、認知度は低く、知らない人がほとんど。
電車やバスなどでベビーカーを使用すると、スペースを取ることもあって、周囲から非難されるケースがあるようです。
このマークのある場所だと、ベビーカーを使用しても良い場所だということがみんなに分かりますので、お母さんも使用しやすいですね。
妊娠中・子育て中はこれらのマークを利用して周囲の理解を促し、優先駐車場などの制度を有効利用しましょう。
社会の理解が進み、もっと出産・子育てがしやすい世の中になると良いですね。
まとめ
いかがでしたか?
残念ながら車いすマークの駐車場については正しい理解が浸透しておらず、妊婦さんがトラブルに見舞われるケースもあります。
マタニティマークをつけるなどして、なるべくトラブルを回避するための対策を行いましょう。
それでも暴言を吐いてくる人に対しては、正しい知識で反論したり、ひどいときには110番をするのも手です。
何よりも自身の安全を確保してください。少子化対策のためにも正しい理解がすすみ、出産・子育てをしやすい世の中になることを願っています。