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しなやかな筋肉を作り、ボディーラインを整える効果のあるヨガとピラティス。
どちらも女性を中心に人気のエクササイズですね。
中でもピラティスは、リハビリを目的として開発されたエクササイズなので、即効性があり、身体のゆがみを矯正する効果があります。
ヨガの動きを取り入れているため、ヨガの一つと思われがちですが、実は全く違うんですね。
ヨガは、精神修行を目的とし、心身を鍛錬するための方法として発展してきました。
一方、ピラティスはインナーマッスルを鍛え、身体を正しく動かせるよう導く効果があります。
今回は、インナーマッスルを鍛えてシェイプアップ効果の高い「ピラティスのおすすめポーズ」をご紹介します!カンタンなのに、“筋肉”に効きますよ。
ピラティスとヨガの違い
はじめに、ピラティスとヨガの違いについてみていきましょう。
ヨガは、腹式呼吸をしながら筋肉を柔軟にする効果があります。身体的な鍛練だけでなく、瞑想などを通して自分の内面を見つめることを重視し、心にフォーカスしているエクササイズと言えるでしょう。
腹式呼吸をしながら筋肉や筋を伸ばして身体をほぐしていくので、高いリラックス効果が得られます。
また、身体を鍛えることで精神の安定を図り、心身のバランスを取るのに効果があるエクササイズでもあります。
ピラティスは、リハビリを目的に開発された、身体そのものにフォーカスしたエクササイズです。胸式呼吸をしながら、主にインナーマッスルを鍛える効果があります。
インナーマッスルとは、身体の内部にある「深層筋」のこと。身体にはトレーニングで鍛えるのが難しい筋肉がありますが、インナーマッスルがまさにそうなんですね。
また、人間の身体の複雑で微細な動きを調整しているのもインナーマッスルなのです。
このインナーマッスルを鍛えることで、身体を動かす時のクセを矯正できるわけなのです。
インナーマッスルとは?身体のどこにあるの?
「深層筋」と言う言葉の通り、インナーマッスルは身体の深層部にあり、主に関節や骨周りにある比較的小さな筋肉のことを指します。
関節を正しい位置に固定して、姿勢を正しく保つ役割があります。
それでは、具体的な位置を見てみましょう。
肩関節にあるインナーマッスル
前鋸筋(ぜんきょきん)
肋骨の外側から肩甲骨の前面に広がる筋肉です。
肩甲骨を前に送り出す働きがあります。
菱形筋群(りょうけいきんぐん)
菱形筋群は、大菱形筋と小菱形筋で構成される菱形の筋肉です。
肩甲骨と背骨をつなぎ、肩甲骨を内側に引っ張る働きがあります。
手前に物を引き寄せる動作に関わる筋肉です。
体幹部にあるインナーマッスル
腹横筋(ふくおうきん)
コルセットのように腹部を覆っている非常に薄い筋肉が腹横筋です。
腹部は筋肉が何層にも重なっていますが、その一番深い場所にあります。
身体を安定させ、呼吸でも使う筋肉です。
胃や腸などの内臓の位置を保持させ、排便を助ける働きもあります。
腹斜筋群(ふくしゃきんぐん)
外腹斜筋と内腹斜筋のことで、外腹斜筋は表層部に、その下に内腹斜筋があります。
アウターマッスルの腹直筋とともに体幹部の屈曲運動に関わっています。
また、腹横筋とともに内臓の位置を安定させ、排便、腹圧にも関わっています。
外腹斜筋
内腹斜筋
股関節周りのインナーマッスル
骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)
骨盤は、恥骨、尾骨、坐骨で構成されていますが、骨盤の底の穴(骨盤腔)をふさいでいるのが、骨盤底筋群と呼ばれる複数の筋肉です。
骨盤底筋群には、子宮や膀胱、直腸などの内臓を支え、腹圧を高める働きがあります。
また、身体の軸を保つ役割もあります。
加齢などでこの筋肉が衰えると、尿漏れや子宮脱などの原因になります。
腸腰筋(ちょうようきん)
腸腰筋は、大腰筋、腸骨筋、小腰筋の3つの筋肉で構成されている筋肉群の総称です。
腰椎と大腿骨を結び、骨盤を前から押さえ安定させています。
上半身と下半身をつなぎ、腰回りのバランスを調整する役割もあります。
良い姿勢を保つのに不可欠な筋肉なので、腸腰筋が弱くなると猫背になりやすくなります。
また、腸腰筋が固くなると、腰骨が前に引っぱられ腰に負担がかかるので、脚が上がりにくくなったり、腰痛になりやすくなります。
大腰筋
腸骨筋
小腰筋
ピラティスのおすすめポーズ
それでは、インナーマッスルを鍛える効果のある「ピラティスのおすすめポーズ」をご紹介しましょう!
胸式呼吸をしながら、ゆっくり丁寧に行うのがポイントです。ヨガマットも忘れずに敷きましょう。
胸式呼吸
まずは胸式呼吸をマスターしましょう。肋骨を広げ、肺を膨らませる呼吸法です。
肺だけでなく背中も膨らませて、たくさん酸素を取り入れましょう。
- 風船に空気を入れて膨らませるイメージで、肺を膨らませて鼻から吸います。
- 口から息を吐きます。このとき、おなかはへこみます。
- 数回繰り返します。
ペルビックカール
基本のポーズです。骨盤周りのインナーマッスルに効きます。
骨盤を持ち上げたとき、腰をそらしたりせず、身体の前面が真っ直ぐになるようにしましょう。
腹斜筋群、腹横筋、骨盤底筋群をバランスよく使うのでおすすめのポーズです。
- ひざを曲げて、ニュートラルポジションで仰向けになります。脚は腰幅にして足の裏全体を床につけます。手は身体の横に置きます。
- 息を吐き、骨盤を後傾させて、背骨を一つ一つ床から離していくイメージで、なめらかに腰を上げていきましょう。
- 骨盤を上げ切ったら、息を吸います。このとき、側面から見て身体の前面が一直線になるようにします。
- 息を吐き、肩から床に下していきます。腰を上げる時とは逆に、背骨一つ一つを順番に床に下していきます。ニュートラルポジションに戻ります。
ローリング・ライク・ア・ボール
背骨を柔らかく丸めて「Cカーブ」にし、背中でボールのように転がるので、腸腰筋、腹斜筋群、腹横筋を使います。
- 写真のようにお尻でバランスを取ります。
- 骨盤を少しずつ後傾させていき、背中を丸めてCカーブを作っていきます。
- バランスが取りきれなくなったら、息を吸い、そのまま後ろに転がります。
- 息を吐き、前に転がって最初の姿勢に戻ります。
ローリング・ライク・ア・ボールのポイント
勢いで元の姿勢に戻るのではなく、おなかの筋肉を使って起き上がりましょう。
背骨を左右均等に丸めていないと、後ろに転がった時と同じ道筋で起き上がれないので、背骨を柔らかくして丸めることを意識しましょう。
ひざと胸の距離は常に一定になるように。
レッグ・リフト・スーパイン
画像出典:http://sky-walk.net/
腰をしっかりと床に安定させて、股関節を動かすことで脚の上げ下ろしをしましょう。
股関節を動かして腸腰筋を鍛え、骨盤を安定させて行うことで腹斜筋群や腹横筋を使います。
- 脚を腰幅に開き、ひざを90℃に曲げて仰向けになります。腕は身体の横に置きます。
- 息を吐き、ひざの角度を90℃に保ったまま、床に対してふくらはぎが水平になるように右足を上げます。つま先はポイント(バレエのようにつま先を伸ばす)にします。
- 息を吸い、ひざの角度を90℃に保ったままつま先を床につけます。
- 左右の脚を5回ずつ行います。
太ももだけを使うのではなく、股関節から脚を動かすことを意識しましょう。腹部の筋肉を使い、骨盤を床に安定して置きましょう。
キャット・ストレッチ
肩甲骨の下の前鋸筋でしっかりと身体を支え、背骨や胸骨をしなやかに動かしましょう。背骨を丸める、伸ばすという動きで背骨周りと体幹部のインナーマッスルを鍛えられます。
- 腕は肩の真下、ひざは股関節の真下になるようにして四つん這いになります。
- 息を吐き、骨盤を後傾させて背骨を丸くする。視線は自分のおなかを見ます。
- 息を吸い、①の姿勢に戻ります。
- 息を吐き、今度は背骨を伸ばし、胸を開いて顔を前に上げる。背中をそらすというよりは、胸部を開いて背骨を伸ばしましょう。
- 息を吸い、①の姿勢に戻ります。これを5回ほど繰り返します。
シングル・ストレートレッグ・ストレッチ
まっすぐに伸ばした上の脚を胸に近づけることで、太ももを柔軟にする効果があります。
体幹部の腹斜筋群、腹横筋のほか、脚を交互に動かすので、腸腰筋を鍛えられます。
- 仰向けになり、頭と肩甲骨を床から持ち上げます。つま先をポイントにして、両脚をまっすぐに伸ばします。
- 息を吐き、上の脚を顔に近づけます。
- 息を吸い、脚を入れ替えます。
- これを10回ほど繰り返します。
背中は左右どちらかが持ち上がらないように床につけておきましょう。
まとめ
ピラティスには、一見するととても地味なポーズや動きがあります。
あまりに微細な動きですが、実はこれがインナーマッスルを鍛えるのに重要なんですね。筋肉だけでなく関節や骨の動きも意識しているので、続けることで身体が驚くほど引き締まってきます。
そして、なんと言っても生活の中での動作がラクになる!!
みなさんも是非ピラティスで、“インナーマッスル”を実感してくださいね。