見出し
多くの赤ちゃんは生後7~8ヶ月頃からハイハイをしはじめ、大体1歳ごろになるとつかまり立ちをしたり、早い子だと歩き始めたりもします。
しかし中にはいつまでたってもハイハイやつかまり立ちをせず、お尻をずりずり引きずるようにして床を移動する赤ちゃんも見られます。
いつまでもハイハイをしないと、何か病気や障害などがあるのではないかと心配になりますよね。
今回はハイハイせずにお尻歩きをする赤ちゃんについて取り上げます。不安になっているお母さんはぜひ参考にしてくださいね。
シャフリングベビーは心配?ハイハイしない子の見守り方
シャフリングベビーとは?
冒頭で述べたような、ハイハイやつかまり立ちをせずにお尻を引きずって歩く赤ちゃんのことを「シャフリングベビー」と呼びます。
シャフリングは、英語の「引きずって歩く」という意味の「shuffle」から来ています。
日本では、床に膝やお尻をつけたまま移動することを「いざる」と言いますので、「いざりっこ」と呼ぶこともあります。
シャフリングベビーの特徴
シャフリングベビーには、お尻を引きずって床を移動する以外にも、以下のような特徴が見られます。
- うつぶせ寝を嫌う
- 寝返りがゆっくり、もしくは寝返りをしようとしない
- 生後9~10ヶ月になってもハイハイせず、座ったままおしりでズリズリと移動する
- 立つのを嫌がる
- お座りの姿勢から脇を持って抱えても、足を下に伸ばさず座った姿勢のまま
- 赤ちゃんの兄弟姉妹や両親のうち、誰かがシャフリングベビーである/だった
- 座ったまま移動しようとする以外の運動や知能発達は正常である
シャフングベビーはうつぶせの姿勢を嫌うため、寝返りやハイハイをしない可能性があります。
中には寝返りをしないまま、腰座りの時期を迎える子も。
そのような赤ちゃんでも、1歳6~9ヶ月頃になるとひとり歩きをし始め、その後も何の問題もなく成長していくことがほとんどです。
他の子と比べると歩き始めが遅いのが特徴ですが、2歳頃までにはきちんと歩けるようになります。
シャフリングベビーの特徴が見られても、あまり心配しすぎずに個性のひとつと捉えて見守ってあげるようにしましょう。
シャフリングベビーの原因と割合
シャフリングベビーの原因については詳しいことがわかっておらず、赤ちゃんの脚の筋肉が弱いからだとか、脚の裏を地面につけることを嫌がるからだとか、色々な意見があります。
またシャフリングベビーのうち、40%が両親のどちらかもしくは両方がシャフリングベビーであったということが分かっていますので、遺伝的な要素も強いと考えられます。
シャフリングベビーは約1,000人に1人の割合で見られると言われています。
決して多くはないですが、そこまで珍しい現象ではないので、もしも自分の子供にシャフリングベビーの特徴が見られても、あまり心配する必要はないと考えてください。
発達障害と関係ある?
ほとんどの場合、シャフリングベビーは他の病気や障害とは関係がありませんが、ごくまれにシャフリングベビーのなかに発達障害やその他の病気を持っている子がいます。
その場合はお尻歩きをしたりハイハイをしないだけでなく、以下のような症状が見られます。
シャフリングベビーの注意すべき症状
- 母乳やミルクの飲みが悪い
- 泣き方が弱い
- 首のすわりが悪く、抱っこするとグラグラして安定しない
- 言葉の理解が遅い
- 笑うことが少ない
- 手指の発達が遅い
- 表情の発達が乏しい
- 目線を合わせない
このような症状が見られたら、小児科を一度受診してみましょう。
発達障害やその他の病気ではなかった場合にも、発達に関するアドバイスをもらえます。
あまり深く考えずに気軽に相談する、程度の気持ちで受診してみてください。
もし健診などで自分の子供がシャフリングベビーと診断された場合でも、その他の精密検査を案内させることがなければ、発達障害やその他の病気の心配はなく、安心して成長を見守って大丈夫です。
歩行のためのリハビリは必要?
シャフリングベビーと診断されたら、歩くためのリハビリは必要でしょうか?ほとんどの場合、答えはNOです。
シャフリングベビーの原因は赤ちゃんの性格や遺伝によるもので、発達の仕方の個性と言えます。他の子よりは少しゆっくりかもしれませんが、2歳までにはきちんと歩けるようになりますので、特別リハビリなどは必要ありません。
どうしても心配な場合は、下半身の発達を促したり、赤ちゃん自身が歩きたくなるような遊びを取り入れてみてください。
赤ちゃんが歩きたくなる遊び
シャフリングベビーの赤ちゃんが歩けるようになるには、身体の発達とともに、赤ちゃん自身が歩きたいと思うようになることが必要です。
決して無理やりではなく、赤ちゃんに歩いてみることへの興味を起こさせ、自発的に歩きたいと思わせるような環境づくりや遊びを取り入れてみましょう。
(1)ハイハイしやすいスペースを作りましょう
もし赤ちゃんが狭いスペースで遊んでいる場合、それがハイハイしない原因になっている可能性があります。
家具の位置や遊び場所を見直し、赤ちゃんがハイハイしやすいような広いスペースをとってみましょう。
フローリングの場合、床が滑ってハイハイしにくいという可能性もありますので、コルクマットなどを敷いてあげるとハイハイしやすく、また転んだ際の衝撃も吸収してくれるので安全に遊べます。
(2)あとちょっとで届きそうなところに好きなおもちゃを
ハイハイを誘導するために赤ちゃんからちょっと離れた位置に、赤ちゃんが好きなおもちゃを置いてみましょう。
何の動機付けもなしには、赤ちゃんにハイハイしたい、歩きたいという意思は生まれません。
普段よく遊んでいるおもちゃをエサにして、「前進したい」という意欲を引き出してみましょう。
赤ちゃんが泣いたり諦めたりしたら、おもちゃをちょっと近づけてみるなどして、うまく「前進しよう」という意思が働くように誘導してあげてください。
(3)お膝の上で、ぴょんぴょん運動
赤ちゃんの脇をもって大人の膝の上に乗せようとすると、赤ちゃんは足を突っ張って立つようなしぐさをすることがあります。
これを上手く使えば立ったり歩いたりする訓練になるのですが、実はシャフリングベビーはこの動きが苦手。
抱き上げてみても膝が曲がったままになってしまいます。
それでも膝の上に乗せてぴょんぴょんするような動きをさせていると、時には足をつっぱってくれることもありますので、出来そうなときにやってみてください。
力のあるパパさんにやってもらうのがおすすめで、赤ちゃんとのコミュニケーションにもなります。
(4)ベビーマッサージもおすすめ
とりあえず脚を動かすという意味で、ベビーマッサージもおすすめです。
無理のない範囲で、赤ちゃんに脚を動かすことを覚えてもらいましょう。
やりかたは赤ちゃんを仰向けに寝かせて、両脚を持ち、カエルのように曲げたり伸ばしたり、というのを優しく繰り返します。好きな曲があれば、リズムに合わせておこなっても良いですね。
脚を使ってハイハイしたり歩いたりするのが苦手な子でも、こうやってベビーマッサージやぴょんぴょん運動などでとりあえず脚を動かしているうちに、下半身の発達が促され、また脚を動かすということにも慣れて苦手意識の克服につながるかもしれません。
シャフリングベビーは赤ちゃんの個性のひとつで、それ自体は病気でも障害でもありません。
赤ちゃんがハイハイをせず、シャフリングベビーと診断されても、焦らず赤ちゃんの成長を見守りましょう。
まとめ
いかがでしたか?
赤ちゃんがハイハイしなかったり、他の子と比べて歩き始めるのが遅いと不安になる気持ちは分かりますが、そういうケースもあるのだと理解して、どんと構えておきましょう。
そうは言っても、あまりにも心配な場合は、赤ちゃんが歩きたいと思えるような工夫をしたり、小児科に相談しても良いと思います。
他の赤ちゃんと違うからといってあまり深刻になりすぎず、わが子の成長を一緒に楽しんであげられると良いですね。