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子供を「叱る」って良いことなのだろうか?と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「叱る」ことは子供の成長に必要なことです。
しかし子供の発達の状態によって叱り方のポイントは変化します。
今回は子供の心を育てるための効果的な叱り方のポイントを、0歳児~6歳児の段階に分けてご紹介します。
子供の心を育てるために「叱る」ことは必要なの?
しつけとして「叱る」ことの意味
子育てをしていく上で「しつけ」は必要不可欠です。
「しつけ」で身につくのは、社会生活で自立して、生活していくためのルールのようなものです。
もし「しつけ」が身についていなかったら、「非常識な人」になってしまい、将来的に仕事をしたり、友人を作ったりという社会の中での生活が難しくなってしまう可能性があります。
しかし「しつけ」のために「叱る」ことは必要なのでしょうか。
「叱る」という行為は何となくマイナスのイメージがあります。
ともすれば子供の成長を阻害するような印象を持っているママやパパもいるかもしれません。
ですが子供が幼いうちは、危ないことやしてはいけないことの区別がつきません。
そういった危険を伝えるという意味で「叱る」という行動は必要なのです。
「叱る」と「怒る」をしっかり区別しよう
「叱る」と「怒る」ことは似ているようで異なります。
大声で怒鳴るなど、怒りの感情を相手に向ける「怒る」行為では、子供はその時は(なんだか怖いからやめよう…)と思いますが、だんだんと(ママの機嫌が悪いだけかぁ…。)と、まったく話を聞かなくなってしまいます。
悪いことをしたと相手に伝え、反省を促す「叱る」行為としっかり区別をしなければいけません。
もちろん、しつけのためという理由でも手をあげては絶対にいけません。
子供は恐怖心をもってしまうだけでなく、将来的に嫌なことを止める手段として暴力がある、と間違った学習をしてしまいます。
年齢別 子供の心の成長を促す叱り方のポイント
次に年齢別の叱り方のポイントを紹介します。
叱る際の基本は、「しっかり顔を見て、目を合わせて伝える」ということです。
その態度に加えて、年齢にあった叱り方をすることによって、より子供にメッセージが伝わりやすくなり、成長を促すことが出来ます。
また、叱る側である大人のストレスも少なくなるかもしれません。
0歳~1歳児
この時期の子供を特に叱る必要はありません。
しかし運動能力が発達するにつれ、興味を持った物や場所に積極的に近づいていきます。
その時に「ダメ!」と言って止めるのは良いですが、まだしっかりと理解に至るまでの発達段階ではありません。
そのため周囲の大人は子供が危険な物や場所に近づくことを避けなければいけません。
叱るのではなく、危険な状況に陥らないように、大人が環境を整えてあげましょう。
2歳児
「魔のイヤイヤ期」とも呼ばれる2歳児の時期。
この時期は自我が芽生え始め、運動能力もどんどん成長していく時期です。
しかしそのために危険なことや無謀なことにも挑戦しようとしてしまい、自分の思い通りにいかないことで癇癪を起こしたりすることも増えます。
加えて、少しずつ自分の要求を言葉で表現できるようになってきていますが、理解力はまだ未熟です。
大人がいくら丁寧に説明しても、子供にとってはわからない話を長々とされているようなものです。
そのため2歳児の子供は、注意されたときに行動を止めることが出来れば良し、としましょう。
「危ないからやめて」と簡潔に伝えることが大切です。
またこの時期は何度叱られても同じ行動を繰り返すものです。
気長に根気強くメッセージを伝えていきましょう。
3歳児
この頃になると集団生活を始める子供も増え、友達や先生など、家族以外の他の人を意識出来るようになってきます。
しかし他人の気持ちを推し量って行動出来るようになるのはもう少し先です。
この時期の子供を叱る方法としては、簡単にわかりやすい言葉で理由を説明する、という方法が効果的です。
「道路に飛び出すと危ないよ」「物を投げたら他の人にぶつかって、ケガをしてしまうかもしれないよ」など、「なぜ」だめなのか、を端的に説明するのが良いでしょう。
そのうえで、「どうしてこうしちゃったのか」という子供の意見を言葉で表現させるのも、成長を促す良い方法です。
自分の気持ちに気づいていくことが、他者の気持ちに気づくことにつながっていきます。
4歳児
より一層お友達を意識するようになる時期です。
友達に誘われて危険なことをしてしまうこともあるかもしれません。
また大雑把な時間の感覚(現在・過去・未来)も意識できるようになってきます。
そのため、子供を叱る際は、自分自身の行動によって危険な目にあうことや、周囲に危険を及ぼすことについて、順序立てて丁寧に伝えていきましょう。
5歳児
この時期は自分以外の他者にも、それぞれ気持ちがあることを理解します。
集団の中の自分を意識しだすのもこの時期です。
他人に自分がどう見られているのかも意識できるようになります。
「お友達も悲しくなるからやめようね」「周りの人の迷惑になるからやめようね」という他者の気持ちに目を向けるような伝え方をしましょう。
そのことで、自分の行動を振り返って反省したり、「今は迷惑になるからやめておこう」という自分自身のコントロールが可能になっていきます。
他者を意識した伝え方をすることで、間近に迫った小学校での集団生活の基礎を学ぶことが出来るのです。
6歳児
一般的にはこの時期から小学校生活が始まることで、これまでよりもさらに「社会の中での自分」を意識するようになります。
そのためルールやマナーを意識した行動をとれるように関わっていくことが必要になってきます。
自分や周囲の人が快適に過ごすために、どうすれば良いのかをある程度自分で考えることが出来ます。
一方で、親に対しても「なぜ言うとおりにしなければいけないのか」という疑問を持つようになります。
そのため、まず親が見本になっているか、自分の行動を振り返りましょう。
そして「どうしたら言うことを聞いてくれるか」ではなく、「どういうやり方がこの子にはあっているのか」を子供と一緒に考えることも、成長を促すポイントになります。
出来ない事を叱らないで!
子供の発達に見合っていないことをどんなに頑張っても失敗するのは当たり前です。
そんな時に「なんでそんなことも出来ないの!」とイライラするのはNGです。
子供をいくら責めても、発達段階に達していないことを出来るようにはなりません。
そのことで子供に劣等感を持たせ、自己肯定感を下げてしまう可能性もあります。
将来的に自信のない、自己卑下的な人物になってしまうきっかけにも…。
そんな時は、今子供にとって何が難しいのかを観察し、どんな手助けがあれば出来るようになるのかを考えるべきでしょう。
そうすることで、親も子供もストレスが減り、子供も自信をもって物事に取り組めるようになっていくはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
子供を叱ることに抵抗のある方もいるかもしれません。
しかし「叱る」ことは怒りをぶつけることではありません。
「叱る」ことは、子供が将来的に社会の中で充実して生活できるようになるためのルールを教えているようなものなのです。
発達段階に応じた理解しやすい叱り方で、しっかり子供の心を育てていきましょう。
そのやり取りの中で親子の絆も深めていけると良いですね。