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産後は、出産の疲れも癒えないまま、夜中の授乳やおむつ替えなど、ママには容赦なく次から次へと仕事(!)が押し寄せてきます。
ママの身体はクタクタですね。
産後1カ月ほどの産褥期は、妊婦さんから妊娠前の身体に戻る途中の時期だと言えますから、ママの身体は、まだまだ本調子に戻っていません。
胎盤のついていた部分の子宮壁、会陰切開や帝王切開などの出産による傷も完治していませんから、生活する上でいろいろと注意が必要になってきます。
お風呂もそのひとつ。
お風呂でゆっくりと疲れを癒したいところですが、弱っているママの身体には感染症などのリスクがあるのです。
たかがお風呂と侮ってはいけません。
産後1カ月は湯船に浸からず、シャワーでの入浴がよい理由や注意点を詳しく見ていきましょう。
産後の産褥期とは?
産褥期とは、ママの身体が妊娠前の状態に戻るまでの期間のことをいいます。
個人差はありますが、産後6~8週間とされています。
分かりやすく言えば、子宮が元の大きさに戻る時期ということですね。
この時期は、「出産」という身体的にも精神的にも負担の大きい仕事を終えた後ですから、出来る限り無理をしないで過ごすことが大切です。
まずは、身体を休めることを第一に考えましょう。
産後の身体はどのように回復するの?
赤ちゃんが生まれて退院したら、お風呂に入る時くらいはゆっくりと湯船に浸かって、疲れを癒したいですよね。
でも考えているよりも、産褥期のママの身体はデリケートになっています。
特に子宮や膣などの傷など、十分に養生しなくてはなりません。
妊娠・出産に関連が強い「子宮」と「膣」にスポットを当て、どんな変化があるのか見ていきましょう。
産後の子宮の回復は?
出産後、子宮や卵巣は6~8週間ほどかけて元に戻ります。
子宮は、非妊時に比べ、臨月の容積は最大で2,000倍~2,500倍になると言われています。
出産が終わると数分以内に、子宮は元の大きさに戻ろうと収縮をはじめます。
この子宮が元に戻ろうとする働きを「子宮復古(ふっこ)」といいます。
また、その際の収縮を「後陣痛」といい、陣痛ほどではないにしても痛みを感じる人が多くを占めています。
母乳をあげていると子宮の収縮を促すので、後陣痛がひどい場合もあるようですが、この後陣痛は、日ごとに弱まりおさまってきます。
痛みがひどい場合は、医師などに相談して鎮痛剤の処方をしてもらうこともあります。
出産で子宮内に残った胎盤や卵膜、血液などが生理のように子宮から排出されます。
これを「悪(お)露(ろ)」といい、産後すぐは鮮血ですが、日を追うごとに茶褐色から黄色へ変化してきます。
1カ月ほどでほとんど出なくなります。
悪露は、産後の回復のバロメーターとなるので、色や量、ニオイなどをチェックしましょう。
「帝王切開」の手術をした場合、傷のタイプもさまざまで個人差もありますが、大体3ヶ月くらいで赤みが取れ、1年くらい経つと目立たなくなるのが一般的です。
手術をしたのですから、やはり無理は禁物です。
産後の膣の回復は?
出産時、膣は広がり、赤ちゃんの通り道となります。
赤ちゃんが出てきやすいように、膣と肛門の間を切開する場合があり、これを「会陰切開」といいます。
また、会陰が伸びにくく避けてしまうことを「会陰裂傷」といいます。
どちらの傷も縫合し、退院の際などに抜糸しますが、傷が治るのは1カ月ほどかかるので、清潔に保つようにしましょう。
また、産褥体操をすることで骨盤底筋群を鍛えられるので、産後の膣のゆるみなど改善する効果が得られるのでおすすめです。
ただし、産褥期はまだ身体の回復途中なので、おなかを使うエクササイズは控え、足首回しなどの腹部に負荷をかけない動きを、無理のない範囲で行いましょう。
産後一ヶ月はお風呂(湯船)に浸かってはいけない理由
産後、子宮や膣の回復を待たずに、子育てが始まりますね。
昼夜問わず、行う授乳やおむつ交換などのほか、家族の世話などもしなくてはなりませんね。
そんな疲労困憊したママの身体は、通常の健康な時よりも免疫力が下がり、抵抗力が落ちているのです。
健康な時には問題なくても、この時期にお風呂の湯船に浸かることで、膣などの傷口から細菌に感染すると産褥感染症となり、場合によっては重篤な症状が出る場合があるのです。
産褥感染症の主な症状は、38度以上の熱が続く、頭痛、腹痛、吐き気、筋肉痛、悪露の停滞などです。
また、湯船に浸かることで血流がよくなるので、悪露などの出血がひどくなる場合があります。
入浴する際は、シャワーだけにして、医師の許可が出てから湯船に浸かるようにしましょう。
お風呂に入浴の許可が出た後の注意点は?
1カ月健診などで医師から入浴の許可が出たあとも、入浴する際に注意することがあります。
会陰や膣、帝王切開などの傷口が随分よくなっていても、引き続き清潔にして、ケアするようにしましょう。
それでは、入浴の際の注意点を見ていきましょう。
きれいなお湯のお風呂に入る
誰も入っていない一番風呂に入りましょう。
誰かが先に入った湯船は、レジオネラ菌などの細菌が繁殖している可能性があります。
お風呂(湯船)に長く浸からない
湯船に長く入ることで血流がよくなり、悪露の出血が多くなる場合があります。
出血があまりひどくなると貧血の症状も出てきます。
また、のぼせて気分が悪くなる場合があり、転倒などの危険もありますから気をつけましょう。
熱いお湯のお風呂に入らない
長く浸かる場合と同様、悪露の出血が増える場合がありますから注意しましょう。
また、妊娠中に「妊娠高血圧症候群」の症状があり重症だった場合、出産してからも高血圧が続く場合があります。
温度の高いお湯に入ると更に血圧が上がってしまい危険ですから、控えておきましょう。
お風呂に入る前に悪露の状態を確認する
悪露が続いている場合は無理をしないようにしましょう。
お風呂は汚れを落として気分もさっぱりしますが、意外と体力を消耗しますから、体調の悪い時は熱いタオルなどで身体を拭くなどして清潔を保つようにしましょう。
産後の産褥期の生活はどんな感じなの?
赤ちゃんが生まれ、ママの身体も身軽になる産後。産褥期は、退院して実家や自宅に戻り、家事も始めたいと思っているかもしれませんね。
「出産のお祝い返しも選びたいし…」なんてショッピングの計画を立てているママもいるのでは?
私も産褥期は実家で過ごし、母子ともに経過も良好だったので、それをいいことに学生時代のマンガを読みふけってしまいました。
気晴らしくらいならいいですが、やはりしっかりと身体を休めるのは大切。
「産後の肥立ち」という言葉もあるくらいですから、産褥期は、ママの身体を休めることを優先しましょう。
お風呂以外の注意にも触れておきますので、見てみましょう。
産後:産褥期の外出
産褥期は身体の回復に努めるようにしたいもの。
免疫力が落ちていると、風邪などのウイルスに感染しやすいですから、外出も1カ月健診までは控えましょう。
私の友人は解放感からか、産後すぐに出産のお祝い返しを選ぶためデパートに行き、突然、目の前が真っ暗に!貧血で気分が悪くなってしまったのです・・
こんなこともありますから、くれぐれも無理はしないようにしましょうね。ちょっとした買い物なども30分くらいに留めておきましょう。
産後:産褥期の家事
自宅などに戻った場合は、どうしても“家事をやらなくては”と考えてしまいがちですね。
キチンとしないと気になる、しっかり者のママも多いかもしれません。
でも、これからの長い人生、ここで無理をすると後々体調不良が続く可能性もあります。
パパなどにも協力してもらい、自分一人で抱え込まないようにしましょう。
もし、協力してもらうのが難しい場合は、優先順位をつけるなどメリハリをつけてやりましょう。
まとめ
いかがでしたか?
私も、産褥期の唯一の楽しみはお風呂でした。
湯船には浸からずシャワーだけでしたが、初夏に出産したこともあり、さっぱりと汗を流すのは最高のリフレッシュでした。
寒い季節の出産でも、首や手首、足首など冷えやすい部分を熱めのシャワーで温めるだけでも十分ポカポカになりますよ。
無理せず過ごして、養生してくださいね。