子供のトイレトレーニングが終わってオムツが外れたと思ったら、今度は「おねしょ」の心配…なんてことありませんか?
「寝る前にちゃんとトイレに行ったのに…」「今晩もまたおねしょしたら、どうしよう…」と、親としても心配になりますね。
「おねしょ」とは、幼稚園年中くらいまでの幼児にみられる、夜間、無意識に排尿してしまう夜尿のことを言います。
子供のおねしょは、その子のせいではありません。
成長途中の子供の身体は、大人に比べて膀胱の容量が小さく働きも未熟であり、また、それらに精神的なものが加わるなど原因もさまざまです。
それでは、詳しくみていきましょう。
子供の「おねしょ」とは?「夜尿症」との違い
夜間、寝ている時に無意識に排尿してしまうことを「夜尿」といいます。
夜尿は、子供の年齢によって、「おねしょ」または「夜尿症」に分けられます。
一般的には、幼児期の夜尿を「おねしょ」といい、5~6歳(小学校入学前後)以降では「夜尿症」といいます。
「夜尿症」は、年齢に加えて、週2回以上の夜尿が3ヶ月以上続くことも症状にあげられます。
この場合、医師などによる生活指導や薬を使った治療で、適切に改善を図ることも必要になってきます。
子供の「夜尿」はどうしておこる原因は?いつまで続くの?
「夜尿」の原因は、夜、眠っている間につくられる尿の量に比べて、その尿をためる膀胱の大きさが小さく、機能も未熟なためにおこる場合がほとんどです。
赤ちゃんは、膀胱も小さく、昼夜の区別がなく尿がつくられるので、一晩に何回もおしっこをしますが、年齢が上がるにつれて、膀胱に貯められる尿の量も増えて安定するので、夜尿は減っていきます。
夜尿する年齢は、2~3歳で2人に1人、4~5歳で20~30%、小学校入学時で10~15%、小学校高学年で5%前後と言われています。
「夜尿症」の原因とは?
「夜尿症」は大きく分けて2つの原因が挙げられます。
「夜間睡眠中の尿量が多い」場合と、「膀胱に貯められる尿量が少ない」場合です。では、それぞれ詳しくみていきましょう。
夜間睡眠中の尿量が多い場合の原因
夜間に作られる尿量が多い場合の夜尿症を「多尿型夜尿症」といい、次のような原因が考えられます。
ホルモンの分泌が十分でない
尿の量を抑制する「抗利尿ホルモン」は夜寝ている時に多く分泌されるため、昼間に比べ尿の量は60%ほどに減ります。
また、膀胱の容量は160%くらいに広がります。
朝までトイレに行かずに済むのは、このホルモンによって、尿の量や膀胱の容量をコントロールされているからなのです。
このホルモンが十分に分泌されないと、夜尿の原因になります。
水分を多く摂りすぎるから
抗利尿ホルモンが正常に分泌されていても、夕方以降の水分摂取量が多いと夜尿の原因になります
膀胱に貯められる尿量が少ない場合の原因
膀胱の容量が少ないことで、少ない量の尿でもためられずに排尿してしまう夜尿症を「膀胱型夜尿症」といい、次のような原因が考えられます。
膀胱の収縮が不安定である
膀胱の収縮をコントロールしている「大脳」の働きが発達していないため、膀胱の収縮が不安定になり、膀胱内の尿の量が少ないにも関わらず排尿されてしまうことがあります。
幼児などは、これにあてはまります。
過活動膀胱(頻尿)
尿を出す、膀胱にためるなどの身体の働きは、自律神経がコントロールしています。
自律神経の働きがうまくいかないと、膀胱にまだ尿をためられるのに「膀胱排尿筋」が過敏に活動してしまいます。
これを「過活動膀胱」といい、夜尿の原因となります。1回の尿の量は少なくなります。
神経系の障害
排尿のコントロールにかかわる脳や脊髄、末梢神経など神経系の障害が原因の場合があります。
認知症や脳卒中、二分脊椎症、糖尿病による神経障害などが挙げられます。
夜尿症のほか、尿漏れなども神経系の障害が原因であらわれることがあります。
それ以外の原因
身体の器官の異常が原因でなく、精神的なものなども考えられます。
精神的なストレス
6ヶ月以上夜尿がなかったのに、突然、夜尿が再発することがあります。
その場合、精神的なストレス、または生活や環境の変化などが原因と考えられます。
感情をつかさどる脳の視床下部は、自律神経の働きもコントロールしているため、ストレスなどで自律神経の働きに影響することがあり、原因となる場合があります。
膀胱や腎臓などの泌尿器系の疾患
夜尿だけでなく、尿漏れなどの症状がある場合、泌尿器系の疾患などが原因であることがあります。
気がかりな場合は、受診して医師に相談することをおすすめします。
睡眠の質が影響
まだ研究段階ですが、睡眠の質が悪い場合、夜間に作られる尿の量をコントロールできない、あるいは膀胱にためられる量を増やせないことがあるのではないかと言われています。
子供の「おねしょ」は治るの?
「おねしょはいつ治るの?」と不安に思いますよね。“「おねしょ(夜尿症)」はそのうち治る”と言われますが、多くは、第二次性徴期を迎える10~12歳ころにはなくなることがほとんどです。
ただ、まれに成人まで続くことがあります。
おねしょ(夜尿症)が治る時期は、子供の年齢やおねしょの頻度、原因などさまざまなことが影響しますから、大変個人差があります。
子供のおねしょ(夜尿症)の対処法は?
治療の前に、どのようなことに気をつけるか、おねしょ(夜尿症)をした場合の対処法をみてみましょう。
叱らない、怒らない
子供自身も、おねしょをしたくてしているわけではありませんね。
「濡れて気持ち悪いから着替えようね~」など普通に接しましょう。
起こさない
起こすことで睡眠リズムを乱すだけでなく、「抗利尿ホルモン」や「成長ホルモン」の分泌を妨げてしまいます。
また、尿をためる膀胱の働きにも妨げにもなり、おねしょ(夜尿)がひどくなる場合があります。
冬など寒い時期は風邪をひきやすいですから、濡れたパジャマや下着などを速やかに着替え、温かくして寝られるように配慮しましょう。
焦らない
おねしょ(夜尿)の原因はさまざまです。
親の焦る気持ちが子供に伝わり、ますます神経質になってしまい、精神衛生上もよくありませんね。
また、兄弟と比べるのも、子供の心を傷つけることにつながります。
親として何とかしてあげたい気持ちはとてもよく分かりますが、長い目で見て、穏やかに接しましょう。
おねしょを治すためにまずは生活指導から!その生活指導の内容は?
治療をする前に、対処法とあわせて、まずは具体的な生活指導をすることから始めます。
どんな内容か見ていきましょう。
水分摂取の仕方に気をつける
水分の摂り方に注意しましょう。
食事の際、しっかりとよく噛むことで、水やお茶で食べものを流し込まずに食べられるようになります。
また、朝や昼は普通に水分を取り、夕食の際、心もち少なめにしておくのもいいでしょう。
ただし、暑い時期や汗をたくさんかいた時などは、過度な水分の制限はやめましょう。
夜寝る前にトイレに行く習慣をつける
夜寝る前にトイレに行くことで膀胱にたまった尿を出し、排尿の習慣にもなりますね。
自発的にトイレに行かせる
親が無理にトイレに行かせるのではなく、行きたくなったら、自発的に行けるようにしましょう。
冷えないように配慮する
温かい時期は大丈夫だったのに、寒い時期におねしょがぶり返す場合があります。
冷えると、おねしょ(夜尿症)しやすくなるので、お風呂に入って温まったら冷える前に寝るなど、冷えないように気をつけましょう。
おねしょを治療する場合、どんな治療をするの?
医療機関を受診し、治療を開始する場合は、一般的にどんな方法があるのでしょうか。次に挙げてみましたので、みてみましょう。
生活指導
「生活指導の内容は?」でも触れた通り、生活全般で気をつけることや心がけることなどの指導があります。
やはり毎日の生活が基本ですね。
薬による治療
- 抗利尿ホルモン薬(内服薬や点鼻薬など)
→尿を濃縮して、尿の量を減らす働きがあります。 - 抗コリン薬(内服薬)
→膀胱の緊張を取って収縮を抑え、尿をためやすくします。 - 三環系抗うつ薬
→抗利尿ホルモン薬や抗コリン薬の効果が十分でない場合、補助的に使います。 - 漢方薬
→体質や年齢に応じて使われます。1歳以上から使える市販のものなどさまざまな種類があります。服用する場合は、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
行動療法
理学的・心理的に治療していく方法を総称して行動療法といいます。
「夜尿アラーム療法」や「一定時間での覚醒療法」、排尿訓練(排尿抑制や排尿中断)などがあります。
子供のおねしょ、宿泊行事が心配!どうすればいいの?
宿泊行事は、子供にとっても思い出となる大事な行事ですね。
ただ、宿泊となると何かと心配ですよね。どのような対応があるのでしょうか。
次にあげてみましたので、参考にしてくださいね。
- 同行する先生や職員にお願いして、夜中に起こしてもらう、朝早めに起きる
- 水分の摂り方に注意する(夕食時などの水分量を調整する)
- 夜寝る前に必ずトイレに行くようにする
- なるべく長く起きている
- 医療機関(医師)に相談する
- おむつやパッドを持たせる。ただし、友達に見つかると子どもも嫌な思いをするかもしれないので、消灯後におむつを履くなどする
まとめ
いかがでしたか?
“おねしょはいつか治る”―そう言われてもやはり親としては心配ですよね。
これを良い機会と考えて、生活習慣を見直してみるのもいいかもしれません。
長い目で子供の成長を見守りたいですね。でももし、少しでも気になることがあったら、ぜひ医療機関に相談してみましょう。
ママが安心して子育てすることが、子供にとっての「安心」でもあるのです。
ママの「気がかり」が少しでも軽くなることを願っています。