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授乳トラブルの代表的なものとして「母乳の詰まり」があります。
私もこれにはずいぶん悩まされ、痛みで眠れない日も多々ありました。この母乳の詰まりが悪化してしまうと乳腺炎などの重い症状を引き起こすことになります。
乳腺炎は約30%もの母乳育児ママがかかってしまうとされており、なかには何度も繰り返しかかってしまい苦しめられているママさんもいます。
今回は多くのママさん達を悩ませているこの「母乳の詰まり」とはどういったものなのか?その原因と解消法についてご紹介していきます。
▼▼母乳ケア方法について知りたいかたはこちらの記事も参考にしてください▼▼
母乳の詰まりとはどんな症状? 乳腺炎の前段階「うつ乳」について
母乳の詰まりとは母乳の通り道で乳腺組織の1つである「乳管」がさまざまな原因によって詰まってしまい、母乳が乳管の中に蓄積されていき詰まってしまった状態のことをいいます。
これを放置しておくと、しこりができ乳腺組織を圧迫してしまうのですが、この状態を「うつ乳」といいます。そしてこれを放っておくと悪化して乳腺炎になることがあります。
うつ乳には次の症状が現れます。
- おっぱいを押さえると痛む。
- おっぱいの一部に小さいシコリができる
- 授乳時に乳頭がチクチク痛む
- 授乳時以外にもおっぱいがチクチク痛む
- 赤ちゃんに吸ってもらっても、おっぱいにまだ張りが残る
これらの症状がうつ乳の症状であり、乳腺炎の初期症状ともいえます。
乳腺炎とは?症状と原因
乳腺炎とは、うつ乳で出来たしこりが悪化することで炎症を起こし痛みが酷くなったり、発熱などの症状が出たり、さらには授乳や搾乳が困難になるほどおっぱいが石のようにカチカチに硬くなったりします。
この乳腺炎には次の2種類があります。
急性うっ滞乳腺炎
症状
- おっぱい全体が赤くなる
- しこりができて触ると痛い
- 乳頭に詰まってしまった白い母乳が点々と見える
- 微熱が出る。悪化すると高熱に。
かかりやすいタイプ
- 乳管がもともと狭い初産婦
- 母乳の分泌が多い人
- 断乳や卒乳などで母乳が急に供給過多の状態になってしまう人
化膿性乳腺炎
症状
- 激しい痛みと腫れ
- 全身の震えや悪寒
- 高熱
- しこり
- 乳頭から血の混ざった母乳やうみやが出る
原因
- 赤ちゃんの口の中の細菌が乳頭に出来た傷から感染する (乳頭が切れやすい陥没乳頭や小さい乳頭の人が起こりやすい)
- 急性うっ滞性乳腺炎が悪化、進行して起こる (急性うっ滞性乳腺炎になりやすい人がかかりやすい)
また、こうした体質や状況などの原因以外にもママのストレスや疲労、睡眠不足、食事なども原因とされています。
母乳分泌が多い人の場合は特に赤ちゃんが新生児の頃になりやすく、これは新生児がまだおっぱいを吸う力も弱く、飲む量も少ないため母乳の分泌量が必要量を上回ってしまいます。そして赤ちゃんが飲み切れなかった母乳が乳房内に残り、詰まりを起こしてしまうのです。
母乳の詰まり予防法
母乳の原料は血液です。このため血行不良が母乳の詰まりの原因でもあります。
この点に着目して母乳の詰まり予防法をご紹介をします。
食事の見直し
高脂肪・高カロリーのもの、塩分の高いもの、揚げ物、甘いものは母乳の粘性が強くなり乳腺が詰まりやすくなる食べ物なのでなるべく取りすぎないように注意しましょう。
理想は野菜中心・和食中心のメニューです。
冷えによる血行不良を改善するためにも野菜は温野菜などにして身体を冷やさないようにしたり、生姜などの食材で身体を温め血行促進するようにしましょう。
疲労・睡眠不足 ・ストレス
これらはすべて血行不良の元でもあります。
解消するにはしっかりと休養をとることが1番ですが、赤ちゃんを育児中のママさんにとってはそう簡単にはいきませんよね。
それでもなるべく赤ちゃんと一緒にお昼寝をしたりして睡眠を充分にとるようにしましょう。体力が回復するのに睡眠は最も重要です。
旦那様や周りの人に協力してもらったりして充分休養をとったり、ストレス解消として1日20分〜30分でもいいのでなるべく自分の時間を作ったりするようにしましょう。
母乳の詰まり対処法と解消法
しこりが腫れて熱をもっていて痛いという場合は無理に揉みほぐしても痛いだけですので、しこり部分にはあまり触れないようにし、冷却シートや保冷剤などで冷やすようにしましょう。この時、氷など極端に冷たいもので急激に冷やすと逆に悪化してしまう恐れがあるのでやめましょう。
本来母乳には水分補給がとても大切ですが、授乳後も張りが残るという人の場合あまり水分を取ってしまうと余計に母乳量が増えて詰まりが悪化するので、少し水分を控え気味にするよう気をつけてください。
最も良い母乳の詰まりの解消法は赤ちゃんに母乳をしっかり飲んでもらうことです。
母乳を外に出そうとあまり搾乳しすぎると、その分、母乳量が増えて溜まりやすくなってしまい逆効果です。搾乳はあくまで詰まりをとるために行い、赤ちゃんがおっぱいをしっかり飲めるようにケアしましょう。詰まりをとるための搾乳の方法としては乳管開通マッサージが有効的です。
このマッサージは「赤ちゃんがおっぱいを飲まない!拒否する原因と対策」の記事にやり方が記載しています。
そして母乳マッサージをしたり授乳の仕方を工夫することも赤ちゃんが飲みやすくなり、詰まりが改善されやすくなる方法です。尚、母乳マッサージ方法について詳しくは「母乳ケアは大丈夫?妊婦さんにおすすめ おっぱいマッサージ方法」の記事に記載しています。
このマッサージは入浴時などに行うとより効果的です。その際、しこりをあまり強く押してしまうと痛いですし乳腺を傷めてしまうので、やさしくマッサージするようにしてください。
入浴後に授乳すると体も温まっていますし、血流も良くなっているのでより効果的でしょう。
赤ちゃんに上手く吸ってもらって詰まりを解消するためのコツ
しこりができやすい箇所は乳輪から乳頭付近が多く、この付近の乳管が詰まってしまい母乳の出口がふさがれているという状態が最も多いようです。
いつも同じ授乳の体勢だと吸われる角度や乳管がいつも同じのため、いつも吸われない乳管や乳腺が詰まりやすくなるのです。ですのでなるべくいろんな抱き方で授乳するようにし、普段吸われていない乳管から吸ってもらうようにしましょう。
もちろん授乳の際はしこりのある方のおっぱいから吸ってもらうようにしましょう。この時、しこり部分は触ると痛いのでしこりの少し外側を乳頭方向に向けて少しだけ圧迫するようにしながら押し出すようにしてください。
そうすることで乳房に溜まった母乳が乳頭方向に流れやすくなるので赤ちゃんに飲んでもらいやすくなります。
しかし、これらの方法はあくまで症状が軽い場合の自己対処法です。
母乳・乳管開通マッサージもできないほどおっぱいが石のようにカチカチに硬くなるなどの重い症状が出てしまったら、自分の力だけでなんとかしようと無理せずに産院や助産院などの母乳外来で専門のマッサージを受けるようにしてください。
また乳腺炎で熱が出てしまったら、すぐに病院に行って適切な処置を受けるようにしましょう。
乳腺炎の状態での自己マッサージや入浴は血行をよくしてしまい母乳が分泌され続け、溜まって詰まってしまう一方となり逆効果ですので避けるようにしましょう。
また病院でおそらく抗生物質などの薬をもらうことと思いますが、この薬を飲んでいる間は授乳を中断しましょう。尚、薬によっては授乳を続けても大丈夫なものもあるので担当医師の指示に従うようにしてください。
まとめ
いかがでしたか?
赤ちゃんとの大切なコミュニケーションである授乳時間がつらい痛みで遮られてしまうのは悲しいですよね。でも今回ご紹介した予防法や対処法を事前に知っておくと安心ですよね。
ママさんたちが楽しく母乳育児ができるよう願っています!