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「香育(こういく)」という言葉をご存じでしょうか?
香育とは花や土などの自然の香りや、アロマオイルを用いて行う、香りを通した学びのことです。
「この花、いい香り。何ていう花だろう?」
「この香り、落ち着く。何て言う植物だろう?」
など、
香りを通して好奇心を引き出したり、学習意欲を高めることで、子供の感性や発想力を育むと言われています。
この香育、実はうまく利用すれば、子供の脳そのものの発達も促すことができるのです!
今回は、まだまだ馴染みのない「香育」について、詳しくご説明いたします!
香育とは 子供への効果は?
アロマセラピーの一種
香育とは、『日本アロマ環境協会』が提唱する、アロマセラピーの一種です。
アロマセラピーは、香りの成分を鼻などから体内に取り入れることで、情緒を安定させたり、記憶力・集中力を伸ばしたり、ホルモンバランスを整えるなど、様々な効果を得ることができます。
香育では、この「香り」から、自然に対する興味や関心を深めることで、学習に役立てたり、子供の感性や発想力を高めることを目指します。
また、「香り成分」がもたらす効果を用いて、情緒の安定や生活リズムの改善、脳の発達を促すなど、人格の形成にも役立てることができます。
「香り」の刺激で脳を活性化
香りは五感の中で唯一、脳の奥深くにある「大脳辺縁系」という場所を刺激します。
大脳辺縁系は記憶や情緒、呼吸などの生命維持を司る、人間にとって大切な部分です。
「香り」はダイレクトにこの場所を刺激するため、それによって記憶力の向上や、情緒・感性の発達、生命維持機能の調整などを行うことができるのです。
香育のメリット
- 子供の好奇心を刺激できる
- 自ら学ぶ姿勢が身に付く
- 楽しく学ぶことができる
- 親子のコミュニケーションのきっかけになる
- 情緒や生活リズムの安定に役立つ
- 記憶力や集中力を高めることができる
- ホルモンバランスを整えることができる
- 気持ちをリラックスさせたり、リフレッシュすることができる
- 健康管理ができるようになる
香育で気をつけること
香育に取り組む際には、その効果を十分に得るため、気を付けて欲しいことが2つあります。
できるだけ天然の香りに触れること。
香りを発するものの中には、石油成分や化学物質などで合成された香料が含まれているものが多いです。
しかし、そういったものは頭痛やアレルギーを引き起こすなど、健康を害する恐れがありますので、香育には植物本来の香りや野菜・果物など、身近な天然素材を用いるようにしましょう。
不快な刺激を伴わせないこと。
例えば、街中で不意に恋人と同じ香水の香りを嗅いだ時ドキドキしてしまったり、実家から届いた荷物を開けたときに実家の香りがしてホッとした経験はありませんか?
前述したように、香りと記憶・情緒には、深い関連性があります。
香育を体験させようと、子供が嫌がっているのに参加させたり、不安や緊張のある中で体験させたりすると、香りと嫌なイメージとが結びついてしまい、その香りを嗅ぐたびに不快な記憶や感情がこみ上げるようになってしまいます。
これでは全く香育の効果がありません。
香育に取り組むときには、明るく楽しめる環境で実施しましょう。
香育の取り入れ方
アロマオイルを用いる
アロマオイルは雑貨屋さんなどで購入できるため、手軽に香育をはじめることができます。
子供が使用するアロマオイルは、ラベンダーやオレンジなど、刺激や害が少なく、身近で馴染みやすい香りから始めるのがオススメです。
ただし、アロマオイルにも、100%天然のものと、石油成分を用いた合成のものがあるので、確認してから購入するようにしましょう。
また、香りには好き嫌いがありますので、子供の好みのものを購入できるよう、購入時には一緒に選ぶことをおすすめします。
自然に触れる体験をする
香育は、アロマオイルだけでなく、自然と触れ合うことでも実施できます。
実際に山や川、海などに行って、多くの植物や潮の香りなどを感じとることができるととても良いのですが、都会のど真ん中ではなかなかそういった体験をすることはできません。
自然をまるごと体験するのが難しい場合には、スーパーなどで土の付いた野菜を買ってみたり、季節のフルーツをカットして香りを楽しんだりしてみましょう。
お花屋さんでお気に入りの花を1輪購入するのもいいかもしれません。
香りを楽しむことから「この野菜はどんなふうに作られるのだろう?」「この花はどんなところに咲いているのだろう?」などを子供と一緒に話したり調べたりすることで、自然に対する興味や学ぶ意欲を高めることができます。
ワンランク上の香育
前述したように、香りから興味や関心を引き出すことが香育の主な目的です。
しかし、せっかく香りに触れるのですから、豊かな感性や表現力も育んで欲しいもの。
例えば、ソムリエがワインの香りや風味を豊かに表現するように、「この香りはどんな印象」「この香りは何と合う」など、親子で意見を出し合う機会を作ると、ワンランク上の香育を実施することができます。
普段、香りについて意見しあうという機会はあまりないので、香りを表現するためにイメージ力が広がり、語彙力もアップします。
まだまだある!香育の嬉しい効果!
生活リズムを整える
例えば、血圧を上げる作用があるグレープフルーツなどは、朝の目覚めに嗅ぐことで、身体も頭もスッキリ元気にすることができますし、逆に血圧を下げる効果のあるラベンダーや、安眠作用のあるカモミールなどを夜に使用すれば、寝つきが良くなったり、深い睡眠を得ることができます。
これをうまく生活の中に取り入れれば、メリハリのある生活リズムを作りだすことができるのです。
これは、睡眠障害や低血圧症などで朝に登校できないような子供に、実際に病院でも用いられている方法ですので、ぜひ試してみてください。
集中力を上げる
アロマオイルの中には、「ローズマリー」や「ペパーミント」などといった、集中力を高めたり、頭の回転を良くする効果をもつ香りもあります。
例えば、お家で宿題をするときなどにローズマリーのアロマオイルを焚けば、子供は勉強に集中することができるようになります。
また、これを習慣づけることで、ローズマリーの香りを嗅いだだけで勉強モードになってしまうというような、嬉しい効果も期待できます。
感情をコントロールできるようになる
学校で緊張してしまったり、自分の気持ちに整理がつかなくてかんしゃくを起こしてしまうような子供には、自宅や本人がリラックスできる場所で好きな香りを焚いてあげるようにしてみてください。
落ち着く場所と好きな香りとの記憶が結び付けば、緊張したりかんしゃくを起こした場面でそれを嗅ぐだけで、心を落ち着けることができるようになります。
これは、少し落ち着きのない子や、受験などの極度に緊張する場面でも有効です。
大切なのは、ある香りと落ち着く場所を記憶として結びつけておくことです。
まとめ
香りから自然に興味を持ったり、学習意欲を高めたり、情緒や生活リズムが安定したり、表現力や語彙力が広がったり…脳の奥深くを活性化させる「香りの刺激」は、子供の成長に様々なメリットをもたらします。
親子で楽しく取り入れて、香育の効果を最大限に活用し、感性や発想力を育めると良いですね。
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