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「食育」と聞いて、みなさんはどのようなものをイメージしますか?
食事する際のマナー?
それとも、食べ物を粗末にしないということ?
栄養学を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。
人間が生きていく上で必要不可欠な「衣・食・住」。
その中でも「食」は生命維持にもかかわる、なくてはならないものです。
それだけでなく、食材を適切に選び、調理することも大切なこと。
「食」を知ることは、そのまま生きることにつながりますね。
そして、何よりも “食べる楽しさ”を感じることができます。家族や友達と楽しく食べる場面は、心の成長にも大きく影響するのです。
「食」を通して、子どもたちに教えられることはたくさん!
「子どもの食で大事なこと」をテーマに、「食育」について、詳しくみていきましょう!
食育とは?
「食育」とは、生きる上で基本である「食」を通して、健全な食生活を送れるようにするための力を育むことを言います。
2005年に施行された「食育基本法」。
ライフスタイルの変化など、私たちの「食」を取り巻く環境は大きく様変わりしてきました。
食生活の乱れなどに加えて、食に関する安全性なども叫ばれています。これら「食」に関する問題を背景に、「食育基本法」が制定されたのです。
食事は身体を作る基本です。
そして、食べ物の栄養素を身体に取り入れるだけでなく、食べ物の味やその食シーンで感じる楽しさなども、すべて含まれています。
「食育」は、子どもたちの身体だけでなく、心の成長にも大変重要な役割を担っているのです。
食育の目的は何?
現代は、「食」に溢れています。自分で作らなくても、外食や惣菜、インスタント食品など、さまざまな食べ物がすぐ手に入ります。
忙しい現代。
ゆっくりと食事を楽しむ時間もないほど、人々は時間に追われているのも事実です。
「個食」も増え、楽しい食事の場面というものをあまり重要視しなくなってきているとも言えますね。
食事は、栄養を身体に取り入れ、身体の各器官の働きを正常に動かすためだけのものではありません。
加熱や味付けなどの調理した食材を味わって食べるのは、動物の中でも人間だけなのです。
このことからも分かるように、食事とは、人間の情緒面にも働きかける
大切なものなのです。
食育にはどんな方法があるの?
成長期真っ只中の子供たち。身体の成長だけでなく、「楽しく、おいしく食べること」で心の成長にも大きく役立つ「食育」。
まずは、ご家庭で始められることからスタートしてみるのはいかがでしょうか?
家族と一緒に買い物に行き、食事の準備をすることで、「食べること」に関心を持つのではないでしょうか。料理を始めるキッカケになるかもしれませんね。
それでは、具体的に食育にはどんな方法があるのか、みていきましょう。
一緒に買い物に行く~食事の準備の前に~
子供と一緒にスーパーや商店に買い物に行ってみましょう。
野菜や肉、魚類などの食材の名前や産地、旬などを説明しながら買い物すれば、「この野菜は地元で栽培されているんだな」、「今の季節はこんなお魚が取れるんだ」など、食材に関する知識や、食材が手元に届くまでの流れも知ることができますね。
日本には四季があり、季節ごとの旬の食材を楽しめます。
さまざまな人の働きによって、その食材を食べることができるということも是非、知ってほしいですね。
野菜を育ててみる~どんなふうに作るの?~
野菜がどんなふうにできるか育ててみるのも楽しいでしょう。
プランターなどでできるミニトマトなどは育てやすいでしょう。
自然の恵み、作ってくれた農家の人たちへの感謝にもつながりますね。
また、自分が育てた野菜はきっと味も格別!
今まで好き嫌いのあった野菜でもできるまでの過程を知ることで、また違った気持ちが子供たちの中に生まれるかもしれません。
日に日に成長する野菜を見て、自然の持つ力の素晴らしさを体験できると思います。
一緒に料理する~ご飯はどんなふうにできるのかな?~
玉ネギの皮をむく、絹さやの筋を取るなど、包丁を使わなくてもできる簡単なお手伝いから始めるといいでしょう。
その料理を食べる時に、自分が調理した食材であるという気持ちから好き嫌いすることなく、残さずに食べられるようになるかもしれませんね。
材料を洗う、切る、調理する、盛り付けるなど調理することを通して、どんなものができるかイメージする力も養うことができますね。
また、「料理は化学」と言われるように、調味料を入れる順番一つで、仕上がる時間や出来具合も違ってきますから、調理する際のコツなども知ることができますね。
「料理のさしすせそ」なども話題にすると楽しいですね。生活の知恵を学ぶ場にもなるでしょう。
特に小さなお子さんには、料理をテーブルに運ぶ、お箸を並べるなどのテーブルの準備もとてもいいお手伝いになり、「食」への興味がわきますね。
その際は、熱いものや重いものは大人が運び、負担のない範囲で手伝ってもらうと楽しみながら、お手伝いすることができますね。
そしてお手伝いしてくれたら、しっかりほめてあげましょう!
特に、料理はほかのお手伝いと違い、ほめることでどんどん上達していきます。
慣れてきたら、子ども用の包丁を使うのもいいかもしれません。
ただし、言って聞かせることが困難な幼児期には大変危険なので、聞き分けられる小学校低学年くらいからがいいでしょう。
「刃物は便利だけどとても危ないものだから、正しい使い方をしようね。」と教え、くれぐれも注意して使うようにしましょう!
また、キッチンではガスコンロなど火も使いますから、お子様がスイッチを触らないように言って聞かせ、注意しましょう。
一緒に食事をする~楽しく食べる~
準備ができたら、席に座り「いただきます!」をしましょう。
食事する際のお行儀やマナーを教えるいい機会になりますね。
家族で、楽しく会話をしながら食べることは、子どもの心も豊かにしてくれます。
「これは、私が切った野菜だよ」と自分の携わったことをみんなで話し合うのも楽しいでしょう。
「今度はこんなものを作ってみよう!」と楽しんで「食」とかかわる気持ちが生まれるのではないでしょうか。
また、愛情のこもった食事を楽しい雰囲気でいただくことは、とても楽しい思い出になり、「食」に対する良いイメージにもつながりますね。
「おいしい」、「楽しい」という感情は、心の栄養になることでしょう。
「食育」がもたらすものとは?
「食べること」は楽しいと知ることができれば、大人になってからも日々の食事を大切にすることができますね。
厚生労働省の「保育所における食育に関する指針」には、次のような「子供像」が掲げられています。
これは、保育所などの子供たちが深くかかわる環境を通じて「食育」を具体的に表したものです。
- お腹がすくリズムのもてる子ども
- 食べたいもの、好きなものが増える子ども
- 一緒に食べたい人がいる子ども
- 食事づくり、準備にかかわる子ども
- 食べものを話題にする子ども
上に挙げた5つについて、具体的にみていきましょう。
お腹がすくリズムのもてる子ども
規則正しい生活を送ることで食事のリズムをつかむことができます。
遊びや活動の後は、おいしく食べることができますね。
食べたいもの、好きなものが増える子ども
さまざまな食材を知ることで、自分の食べたいものや好きなものが増えますね。
「私は酸っぱい味も好き」、「この味付けだと苦いピーマンも食べられる」など、食の好みなどもハッキリしてくると、より「食」に関心を持つことができます。
一緒に食べたい人がいる子ども
家族や友だちと一緒に食べる楽しさを知ることができます。
一緒に食べたい人がいるということは、「一人じゃない」という気持ちを持つことにもつながりますね。
食事づくり、準備にかかわる子ども
お手伝いなどを通して、食事作りやその準備を知ることができます。
いろいろな準備を経て、はじめて食べられるのだということも分かりますね。
また、調理方法や道具の使い方など、食事の準備をする具体的な方法や知識を得ることもできます。
食べものを話題にする子ども
産地や旬など、食材に関することを学ぶことができるとともに、自然の恵みや作ってくれる人々への感謝の気持ちを持つことができます。
名物など、地域ごとの伝統的な味付けなども知ることができますね。
まとめ
子供たちの心と身体が健全に成長していくために必要な「食育」。
すべての子供たちが健やかに育つように、家庭だけでなく、教育の現場や地域でも取り入れている場が増えていますね。
「食」に関心を持つということは、生きることに関心を持つということなのかもしれませんね。
是非、興味のあることから、取り入れてみてくださいね。
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