知っていましたか?赤ちゃんにはちみつを食べさせてはいけないということを。食べさせてはいけない期間とその理由
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ボツリヌス菌とは?
はちみつには「ボツリヌス菌」という菌が含まれている可能性があります。
ボツリヌス菌の「芽胞(がほう)」と呼ばれる菌の種のようなものを、1歳未満の赤ちゃんが体内に入れてしまうと「乳児ボツリヌス症」という感染症を発症するおそれがあります。
ボツリヌス菌はハチが運んでくると言われていて、日本で製造されているはちみつは比較的安全性が高いですが、それでも約5%は含まれていると言われています。
1歳未満の赤ちゃんが食べてしまうと、腸が未発達で腸内細菌が少ないため、ボツリヌス菌が発育・増殖してしまうのです。
1987年に厚生労働省からも1歳未満の赤ちゃんにははちみつを与えないようにと呼びかけられています。
- 保健関係者及び医療関係者に対し,本症に関する知識の普及に努めること。
- 乳児の保育に当たる保護者,乳児を対象とする児童福祉施設等に対し,1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないように指導すること。この場合,本症が乳児特有の疾病であり,1歳以上の者に蜂蜜を与えても本症の発生は無いことを十分認識させることとし,いたずらに混乱を招くことのないよう保健関係者及び医療関係者を通じ,適切な指導を行うこと。
- 医療関係から乳児ボツリヌス症が疑われる患者の血清,便等のボツリヌス菌及び毒素の検査依頼があった場合は,できる限り協力を行うこと。
<通知>乳児ボツリヌス症の予防対策について – 国立感染症研究所感染症情報センター 病原微生物検出情報事務局
乳児ボツリヌス症とは?
乳児ボツリヌス症とは、ボツリヌス菌による毒素により筋肉が麻痺してしまう病気です。
ブドウ球菌とともに食中毒をおこす細菌の食中毒菌の1つであり、口から入るとボツリヌス菌が大腸で増殖し、毒素を作ります。
軽症から死に至る可能性のあるまで幅が広く、潜伏期間が3~30日と長いのが特徴とされています。
また、病気になってしまうと完全に治るまでに数カ月を要します。
乳児ボツリヌス症になってしまった場合の症状
- 便秘が長引く
- ミルクの吸いつきや飲みこみが弱い
- 泣き声が小さい
- 口の中がよだれで溢れる
- 全身の筋肉が低下し首が支えられなくなる
- 顔面の筋肉がマヒして無表情になる
- 瞼があげられず瞳孔が散大し、対光反射が緩慢になる
- 呼吸ができなくなる
まず便秘状態が3日以上続くと言われています。
それから上記のような症状が見られ、全身がぐにゃっとしたような脱力状態になってしまうと言われています。
上記症状が見られたら、すぐに病院に連れていってください。
乳児ボツリヌス症の治療法は?
呼吸筋の麻痺から呼吸不全を防ぐために呼吸管理をおこない、体内で増殖した菌が毒素を作りだす病気のため、抗菌薬投与による除菌がおこなわれる場合があります。
潜伏期間も長く、発症したあとも完治するまで数カ月かかると言われています。治療をすれば、後遺症もなく完治する場合がほとんどです。
便から菌または毒素が検出され続けるため、二次感染にならないように入院中も注意が必要とされています。
はちみつを食べさせてはいけない期間は?
基本的に、1歳未満の赤ちゃんには食べさせてはいけないと覚えておいてください。
乳児ボツリヌス症が発症するのは生後3週間~6カ月までの赤ちゃんに多いとされています。
離乳食が始まる前の赤ちゃんの体は、母乳やミルクから栄養をもらっており消化器官が発達していません。
赤ちゃんが1歳以上になれば、腸内環境も整ってきてボツリヌス菌の芽胞を食べても発症しません。
はちみつ以外には含まれていないの?
ボツリヌス菌は、芽胞による汚染の可能性もあると言われています。
はちみつの他、コーンシロップや黒糖、野菜ジュースなどにも含まれている可能性があるため注意が必要です。
その他の予防法としては、ミルクなど水分補給を行う水は、念のため一度沸騰させてから50度程度に冷ましたものを使用する方がいいと言われています。
加熱すれば平気?
ボツリヌス菌は熱に強く、熱湯で10分加熱したとしても、毒素は消えても死滅はしないと言われています。
十分に加熱をして料理に使用したとしても、1歳未満の赤ちゃんには与えないでください。
食品の原料にはちみつが使用されている場合もありますので、赤ちゃんに食べさせるものは注意をしてください。
また、離乳食にはちみつを使うようなことももちろんしないでください。