海外育児、メリット・デメリット。海外で子育てする親が知っておくべきこと
見出し
言葉の不自由⇔外国語が上達する
私の場合、夫とはお互いの留学先の第3国で知り合い、結婚して夫の国フランスに来てからも、しばらくは英語で意思疎通していました。
夫の友達は英語が話せる人が多かったので、あまり困ることはなかったのですが、夫の家族は英語がまったく話せず、家族の集まりでも食べて暇を潰すことしかできなかったのは、正直苦痛でした。
第一子を妊娠して、毎回の検診に夫が付き添えないこと、私自身も夫に何もかも頼りたくはなかったこともあり、覚悟を決めて英語からフランス語に切り替えました。
最初はやはり不便もありましたが、児童館でスタッフやフランス人ママさんと雑談しながら、フランス語を練習しました。
子どもが幼稚園に通い始める3歳ごろには、先生や他のママさんとそれなりに意思疎通できるようになって、子どもの幼稚園での様子を聞いたり、幼稚園のお友達と遊ばせたりがスムーズにできましたし、そこからフランス人の友達や人脈も広がりました。
フランスでの経験を中心に、英語圏以外の現地語の習得と子どもの学校について、ここでは考えたいと思います。
駐在の場合の海外子育てメリット
仕事で海外に駐在する場合、英語圏以外の国で、ママやパパがその国の言葉で日常会話ができるレベルというのはなかなか難しいでしょう。
日本で少しでも勉強できるといいのですが、育児中のママ、仕事で忙しいパパでは、時間を捻出することは難しいでしょう。
NHKのラジオやテレビ講座がある言語なら、通勤途中や家事をしながら聞いたり見たりして、耳を慣らすのもオススメです。
お子さんが幼稚園や学校に入れる年齢なら、現地に着いてから語学学校に通ったり、家庭教師やSkypeレッスンで勉強したりする選択肢もあります。
フランスでは、移民局主催の無料のフランス語講座を初め、大学の外国人向け講座、プライベートの語学学校などで、毎日~週2、3回までいろいろな選択肢があります。
大学には託児所があって、赤ちゃんも預けられるようになっているところが多いようです。
駐在先の国や都市に在住の人のブログやSNSなどで、いろいろ情報が得られるので、自分にあったペースとスタイルを見つけましょう。
子どもの言葉は、渡航する年齢にもよりますが、現地で幼稚園や学校に通いながら、少しずつ滞在国の言葉を身につけるでしょう。
就学年齢の子どもたちは、待ったなしで勉強が始まるので、現地校に通う場合は、言葉の不自由が海外生活最初の壁になります。
学校の宿題のフォローなどは、現地で家庭教師を探すのがベストでしょう。大学がある都市なら、日本語を少しは理解できたり、英語でママと意思疎通できたりする学生が見つかるはずです。
子どもの性格と年齢にもよりますが、言葉が通じなくても、子ども同士は気持ちが通じやすいので、仲のいい友達もできるでしょうし、1年もすれば現地の授業についていけるようになるケースが多いです。
子どもの年齢によっては、全日制日本人学校やインターナショナル・スクールという選択肢もあります。
日本人学校でできる友達は日本人ですし、学校の授業も日本語ですから、言葉の不自由の心配はありません。現地の言葉の上達はあまり期待できないのは残念かもしれませんが、帰任後の勉強の心配をしなくてもいいというメリットもあります。
インターナショナル・スクールは、英語のみで授業を行う学校と、現地語・英語半々で授業を行う学校があります。
英語圏からの横移動の場合、英語で授業が受けられることは、大きなメリットですが、英語の土台がない子どもには、次に英語圏に赴任予定という場合は別にして、大きなメリットはありません。
どの学校・幼稚園を選択しても、メリット・デメリットはあるので、正解・不正解はありません。
一度決めたら、メリットを最大限に生かすようにして、楽しく過ごしましょう。
国際結婚の場合の海外子育てメリット
留学中に知り合ったパートナーとその国で結婚するなら、言葉の不自由は少ないかもしれません。
国際結婚でも、住む国の言葉ができない場合は、駐在家庭と同じ問題に悩むことになりますが、子どもを持つ前に現地の語学学校に通って、少しでも話せるようになっておくと、安心です。
私の場合、フランスに住む前に、留学先の第3国でフランス語を習ってみました。
留学先の言葉はほぼネイティブ並みにできたのですが、それでも外国語で外国語を習うとなると、理解はできても身につかず、あまり役にたたなかったです。
国際結婚の場合、子どもに日本語を習得させるのかどうか、ということもきちんと考えておかないといけません。
親がそれぞれの母語を話していたら、子どもが自然にバイリンガルになるというわけではありません。
たしかに2、3歳まではそれでもなんとかなりますが、フランスの場合は特に、3歳から幼稚園が始まると、朝の8時半から午後4時半まで幼稚園でフランス語のシャワーを浴びてくるので、急にフランス語が強くなります。
ママが日本語で話しかけても、返事はフランス語、あるいは、フランス語の単語が日本語の文に混じるようになります。
小さいうちから、年齢の近い日本人ハーフの友達と遊ぶ機会を持つようにして、ママ(あるいはパパ)以外とも、日本語で話せる環境を作れるといいですね。
子どもが大きくなって、小学校に入ると、学校の勉強はすべて現地語、日本語を話すのが面倒になったり、日本語の勉強をいやがるようになります。
非日本人パートナーも、勉強ばかりさせることにいい顔をしない場合が多いです。
だいたい小1、小3、現地の中学校に入る年(フランスは小5、イギリスは小6)にこの波が来ます。子どもに無理強いするのはよくありませんが、ここでやめてしまって、高校になって「なんで日本語をちゃんと教えてくれなかったんだ」と子どもに責められた友人が数人います。
子どもに日本語を習得させると決めたなら、パートナーとの協力して、パパとママはあなたに日本語を話してほしい、と伝えて、家族全員で取り組む必要があります。
滞在国との価値観の違い⇔視野が広がる
日本人同士でも育児の常識や価値観は、人、地域、年代によって様々です。
海外となるとさらに驚くようなこともたくさんあります。
経験者のブログなどを読んでおくと、ショックは軽くて済むことが多いでしょう。
多少のことは「日本でだって違いはあるんだから、海外で違うのは当たり前」と割り切ってしまいましょう。
ただし、国によっては、日本で当たり前のことが違法な場合があります。
フランスでは10歳未満の子どもを一人で通学させたり、留守番させたりするのは違法ですし、アメリカでは叩くなどの体罰は違法です。近所の人に通報されて、大変なことになった、ということがないように、滞在国の子どもに関するルールは知っておきましょう。
国際結婚カップルの場合、育児関係の習慣や価値観の違いは、特に最初の子どものときは夫婦げんかの原因になりやすいです。
我が家の場合は、お風呂のお湯の温度が、子どもが生まれてから初めての夫婦喧嘩の原因でした。
フランスでは38度が赤ちゃんのお風呂の適正温度なのですが、日本人の私にとってはぬるすぎる感じがして、せっかく子どもをお風呂に入れてくれた夫を責めてしまいました。
夫ならまだ正直な気持ちをぶつけることができますが(ぶつけすぎるのも禁物ではありますが)、パートナーの母がいろいろ教えてくれることも、本人は親切なのでしょうが、慣れない育児でつかれている身にはストレスになります。
この場合は、逆に夫の母語が分からない方がいいときもあります。
運良く(?)義母の言うことが半分ほどしか分からなかった私は、その分気が楽でした。
分かってしまった部分も、「日本ではこうだから」とかなりの部分を割り切って通しました。
でも、日本式の育児は、赤ちゃん第一で、お母さんは頑張りすぎて疲れ果ててしまう部分もあります。
滞在国の習慣で、自分がいいなと思うことは、どんどん取り入れて、日本と海外のおいしいとこ取りをしましょう。
例えば、フランスでは、働いていないママでも、託児所に子どもを預けて、買い物をしたり、美容院に行ったり、自分のために時間を使うことが当たり前と考えられています。
両親が幸せでなければ、子どもも幸せになれない、という常識なので、子どもを祖父母やベビーシッターに預けて、夫婦で夜に外出するのは当たり前。友人同士で子どもの預かり合いをすることも、珍しくありません。
シッターを頼んでまで夫婦で外出するのは、なんとなく気が引けるので私は未体験ですが、夫に子どもを頼んで、ゆっくり買い物に行ったり、日頃会えない友達とご飯を食べたりはよくします。
お陰で、夫が友達と飲みにいくのも、快く送り出せます。
子どもの学校でも、例えば、フランス人はすぐに計算機を使うので、子どもの計算力は大いに問題アリですが、逆に自分の意見を述べたり、論理的に文章を組み立てたりするような授業は、日本より優れています。
自己表現するのはフランスの学校にまかせて、計算や日本語は私がフォロー、と日仏のいいとこどりを心がけています。
家族・友人から離れた孤立感
インターネット社会の現在、LINEやSNSで日本の家族や友人とやりとりするのが簡単になりました。
私がフランスに来た当時は、インターネットは普及しておらず、家族や友達へのメールをフロッピー(なんて、今時の若いママさんはご存知ないかもしれませんが)に保存して、夫の職場から送ってもらっていました。
いくらネットで頻繁にやりとりができるとはいっても、育児中は実際に会って話したり、子ども同士を遊ばせたりできる友人が大切です。
現地でプレイグループなどに参加して、友人・知人の輪を広げましょう。ブログから実際のお付き合いにつながるのも、ネット社会のありがたいところです。
子どもが現地の幼稚園や学校に通っていれば、子どもの友達のママたちとの付き合いもはじまります。
言葉が流暢じゃなくても大丈夫。子どもが通訳してくれますし、多少間違っても気持ちは伝わります。
特にインターナショナルスクールではなくても、普通に多様な国籍の子どもたちと触れ合う機会が持てるので(もちろん私たちもその一旦を担っているわけです)、子どもは自然に異文化を理解し、広い視野を持てるようになります。
ただし、合わない人と無理に付き合うと、ストレスがたまるだけなので、そういう場合は上手にフェードアウトしましょう。
同じ日本人だからといって、だれとでも友達になれるわけでもありません。言葉の壁がないので、発言に共感できる相手と、違和感を感じる相手の差は大きいです。
気の合う人との関係は大切に、合わない人ともそれなりに、と割りきることも大切です。
まとめ
いかがでしたか?
海外生活のメリット・デメリットというのは、半分水が入っているコップを見て、水が半分しか入っていない、と思うか、半分も入っていると思うか、というのに似ていると思います。
5年後、10年後に、この国で子どもを育てられてよかった、と思うかもしれませんし、日本の良さが身に染みて分かったと感じるかもしれません。
どちらかのいいところを発見できれば、しめたものです。
子育ては長いようですが、過ぎてみるとあっという間です。
我が家も、上の子が一人で留守番ができる年になって、買い物や散歩になかなか付き合ってくれなくなりました。
旅行に一緒に行かない、という日も遠くないと思うと、ちょっと寂しいです。
海外生活&育児に疲れたときには、ちょっと休憩して、次の日からまた、気持ちを切り替えれば、大丈夫。頑張りすぎないことが一番です。